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真実に気が付いたきっかけは身に覚えのない傷。
左腕の二の腕に小さく赤い傷が走っていた。
"覚えて"
消えかかっている線はそう書かれているようにみえた。
一度は単なる偶然かと思い大して気にも止めなかった。
しかし、それは偶然などではなかった。
"覚えて"
数日後に同じ場所、同じ筆跡で同じ言葉がまたあった。
これは偶然ではない。
崩れた文字は右斜め上に傾いている癖字で、それは自分の字に酷似していた。
そしてこの線は傷、おそらく念によるもの。
爪に薄くオーラを纏わせて手の甲の上を走らせた。
赤い線が走る。
腕のものと全く同じ質感。
これは偶然ではない。
そう確信をした。
その日から毎朝目が覚める度に自分の腕をくまなく確認するようになった。
こんな不思議なことが起こるなんて信じられない。誰かに相談してもいいが、信じてもらえるだろうかと悩みながら眠れば
"誰にも伝えてはだめ"
次の日に書かれていたのはその文言だった。
いったい誰がこれを書いているんだ、そう悩んでいるとその翌日には"私はA"と書かれていた。
恐怖より驚きが勝った。
私を名乗る人物に私の疑問が次々と潰されている。
もしかしたら、私がいまこうやって考えていることも伝わっているのだろうか。
そう悩んでいたが、次にメッセージが書かれるまで、1週間がかかった。
一週間後に書かれてあったのは私の疑問に対する答えであった。
"考えは伝わっている"
まさか、そんなことが。
一度は息を飲んだものの、その時の私は呑気なもので、何かが、私の平凡な日々に起ころうとしているのだなと心のどこかでは他人事のように思っていた。
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あやこ(プロフ) - らぶらさん» らぶらさん、コメントありがとうございます。更新速度を上げていく予定ですので、是非最後までよろしくお願いします。 (4月22日 23時) (レス) @page5 id: 7bf5456e4c (このIDを非表示/違反報告)
らぶら - 更新楽しみに待ってます!! (3月30日 0時) (レス) @page3 id: 5fb95732a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやこ | 作成日時:2024年3月26日 0時