3.春 ページ3
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「それじゃあ、部屋は私の部屋の隣で、トイレは〜」
いづみさんに寮内の説明を受け、ひと段落着いた私は1度家に帰り、親にその旨を話すことになった。
そう、親に話すのだ。
うっかりしてたけど、お母さん結構厳しいからな...許してくれるかどうか...
「A?なに、話って」
ご飯を食べてる流れとはいえ、さらっと言っても大丈夫なものなのだろうか...
母を横目に見つつ本題に入る。
『実は私、超いいバイトを見つけちゃってさ。寮付きで劇団のお手伝いみたいなバイトなんだけど....』
「へぇ、劇団?なんていうところ?」
『...満開カンパニー?』
「満開カンパニー?!?!」
「それって、いづみちゃんがいるところ?!」
『え?え、なんで知ってるの...?』
「お母さん、いづみちゃんが中学生の頃の担任だったのよ」
お母さんは国語の教師である。
『まさかそんな偶然が...』
「お母さんも久しぶりにいづみちゃんに会ってみたいわ、今度一緒にいってもいい?」
『もちろん...いいけど』
まさかこんなにあっさりOKが貰えるとは。
こんなにツイてるんだったら、第1志望に受かってて欲しかったなぁなんて思ったり。
とはいえ、バイト初日は一週間後という驚異的なスケジュール。
『とりあえず荷造りしなきゃ』
その後淡々と物事は進み、気づけば引越しが完了していた。
『えっと...改めてよろしくお願いします』
「いづみちゃん、娘をよろしくね」
「は、はい!もちろん、それにしても先生、全然老けませんね..」
2人は話に花が咲いてるようで。
『荷解きしちゃいますね』
「あ、はい!あとで何人かと一緒に手伝いにいきます!」
『あ、ありがとうございます』
優しそうな人だな、ほんと。
まだ劇団員の人たちとは会ったことないけど..
『あのちょんまげも劇団員...なんだろうか』
ほんのり不安の残るスタートである。
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作者名:てんす | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/bbs/t%3A%E3%81%82%E3%82%84%E3%81%93%E3%81%AE%E3%83%9B%E3%8...
作成日時:2019年2月18日 18時