歌い手アパート短編集【ほのぼの】 (ページ3)

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あいさつしてみた。96猫ページ3

「やっばぁ……挨拶しないと。」

アパートに引きこもり、ゲームをしているときに、ふと思い出した。

しかも、引越して数日経っていると言う事実。
とりあえず引越し当日に持ってきた、アパートの人に渡すものを探しだし、お隣の人に挨拶をしに行くことにした。

ピンポンを押そうとした、その瞬間

ガタガタガタドンガラガッシャーン！！！

「！？何故！」

中からとんでもない音が聞こえた。
防音でも聞こえると言うことは、相当なことだろう。慌てて扉を叩く。

「どうしたんですか？大丈夫ですか？？」

声を貼りあげようとしたが、残念。
最近声を張り上げてない私にとって、大きい声はいきなり出せないようだった。

仕事してくれよ、筋肉。
チラリと胸の方を見て、哀しくなった。

「お、お、お？

うわぁぁあぁぁぁ！？？？」

ドンガラガッシャーン！！

目の前にあるのは、床。
………床？

そんでもって、顔とか足とか手が痛い。
え、何？筋肉痛？絶対違うわ。

何とか体を起こし、ようやく理解した。
どうやら私は、ずっと扉を叩いていたせいで、鍵がかかっていなかったのに気づかず、そのままぶっ倒れたらしい。

この家の人は、どうやら危機管理が出来ていないらしい。鍵ぐらいかけろ

「大丈夫！？」
「……だいじょぶです。」

手を差し伸べられ、起き上がる。
私よりも背が低い、可愛い女の人だ。

「………あ、私……数日前に引っ越してきた、ヒキニートです。」
「ヒキニー？ヒキニートさん！？」
「あ、はい。ちゃんと大学一年生してます。」
「うわぁ！ファンなんですよ！」
「タメでいいですよ。」

「分かった！よろしくな、わし96猫！！」
「よろしくお願いします。あ、これどうぞ。」

「うわぁありがとう！いい匂いの入浴剤やね！

……あ、そうだそうだ友達になろう！女の子殆どいなかったんよ！」
「え、あ、友達………分かりました。」

「よろしくなヒキニーちゃん！！」
「はい、よろしくお願いします。96猫さん。」

ぺこりとお辞儀し、部屋に戻った。

騒がしかった………な。

LINEも交換したし。

私は、交換したLINEの画面を見て、ブルブルと震えた。

「………陽キャ怖い。怖い。いきなり友達？
え、怖い。」

その日、彼女は戦慄した。

私は生粋の陰キャなのだと。

「陰キャ最高。二ーティングしよ。」

だからといって、どうとでも無いが。