国立三つ葉異能力学園！！3 (ページ10)

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#84 逃げるページ10

夜神の声を聞いた瞬間、一目散に逃げるA組の皆。

誰かが犠牲にされるであろう、この人体実験は、皆無慈悲で、自分はなりたくないと、簡単にクラスメイトを蹴落とす。

階段から上に逃げようにも、そこは既に誰かが塞いでしまった。

故に、リビングにいる奴は、リビングで逃げ切るしか、方法が無い。

ソファや椅子などの障害物を駆使して、逃げ回る。

「やめて！！珖ちゃん！私は、多分聞かないから、圭くんをどうぞ！」

「やめろぉぉぉおぉぉぉぉお！！ばかぁぁぁぁぁぁあ！！」

彩が圭を差し出し、逃げる。

魔の手が忍び寄る、コンマ数秒で、圭はまた逃げ出した。

他にも、大牙や羽風が死にものぐるいで逃げる。

逃げる

逃げる

とにかく逃げる

その時――――である。

ﾄﾞﾀｯ!!

「凛っ！！！」

リビングで逃げ回っていたせいで、障害物に足を取られたのか、凛が転んでしまった。

少しコケただけな為、すぐに立って逃げる事は可能だった。

けれど、凛はそれが出来なかった。

人が転ける……その行為に置いて、珖が気づかないはずかない。

凛が逃げるよりも早く、凛を捕まえ、その小さな体全力で、凛を抑えた。

馬乗りになり、手を縛る。
凛は、簡単に身動き出来なくなってしまった。

周りは、安堵と不安の表情で凛を見る。

自分が犠牲にはなりたくないから、助けには行かない。

凛は、自分の力を振り絞って暴れるが、一向に解放される様子は無かった。

凛が自分の死を感じ、抵抗をやめ、諦めたその時である。

「まって！夜神さん！！！凛がやるくらいなら、僕がやる！！！」

「…っそ、宙………。」

周りは、驚きの表情で、宙を見た。

自分から、あの！悪魔の実験台になってもいいと、言うなんて！！

普通、そんな事はしないだろう。
これもやっぱり、宙が重度のシスコン故なのか。

珖は、その姿の宙を見ると、

「別に誰でもいいし、ん、ごめんね。凛ちゃん。」

凛を縛っていたネクタイを取って解放させた。

「さぁ……君はこっちだよ？そーらくん？」

「……っ！」

今にも泣き出しそうな宙、けれど、凛を守る為、その為だけに、震える足を何とか抑え、悪魔(珖)のそばに寄った。