妖もどきと女子高生【恋愛】 (ページ5)

今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:13,786 hit

四秒＊女子高生、襲われるページ5

.

『夕霧、夕霧、夕霧‥‥‥』

夜の真っ暗な道

さっきのイケメンの名前を呪文の様に唱えながら突き進む

＿＿＿お嬢さんに譲ってあげる

訳のわからぬまま、抱き締められた

取り敢えず

『あのイケメン、今度会ったら一発くれてやろう』

初対面の女子高生にいきなり抱き付きやがって

イケメンだからってなんでもゆるされるとかそういう規則は今すぐ滅びろ

心の中で呪詛に近い言葉を吐きながら、私は胸元にかかった物を触る

くすんだ色の古ぼけた懐中時計だった

『さっき抱き付かれた時につけられたんかなぁ』

古ぼけてくすんでしまった銀色の本体に、桜色の宝石がついていた

『‥‥』

"夕霧"

あんな怪しい痴漢男の事なんて、気にする必要もない

でも自転車なおしてもらっちゃったし‥‥

どういう手品なのかしらないけど

『‥‥今度会ったら、殴った後にお礼言っとこ』

一応、私は礼儀正しい女子高生だからね！

そう意気込んで、家路に自転車を走らせる

『‥‥ん？』

キッとブレーキをかけた

ギシギシいわずにスッと止まるそれに少しいい気になる

『‥‥こんな所に、道あったっけ？』

細い路地裏

なんだろ‥‥奥が見えない

決して暗い訳じゃないし、私、両面２.０なのに

ゆらゆらと揺れて、霧がかってる様に見える

『‥‥』

手をのばしてみると、微かに冷たい空気が手をつつんだ

これ‥‥なに？

＿＿お嬢さんなら見つけられるよ

『‥‥少し』

少し、寄り道したい気分なだけなんだから

＿＿＿
＿＿

『‥‥暗いよぉぉぉぉ！！』

街灯あった筈なのに、なんでこんなに暗いんだよ！？

しかもいつのまにか、両側がブロック塀じゃなくて森っぽくなってるし！

ここ何処ぉぉぉ！

ざわざわと揺れる森

不気味も不気味、超絶不気味！！

‥‥‥

『やっぱり帰ろうかな‥‥？』

こんなに暗いと、ちょーっと怖いしー

あはははーと一人笑っている私は、端からみたら完全に不審者だろう。悲しい！！

本格的に虚しくなる前に帰ろ‥‥

くるりと背中を向けた

その時だった

「貴様、この様な所で何をしておる」

ギラリ

『‥‥え？』

首もとに怪しい光が出現した

闇夜の中でも鋭く光る、それは‥‥

『は、もの？』

「質問に答えよ、娘」

背後から聞こえてくる

僅かに高い、男の子の声

短刀とおぼわしき刃が、首に迫った

どういうことだよ！

短刀ってなに！？銃刀法違反！！

.