妖もどきと女子高生【恋愛】 (ページ4)

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三秒ページ4

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「自分でこまめにメンテナンスをすること。一年に一回はお店でみてもらうこと。

時間を刻んだものは素晴らしいんですからね。丁重に扱わなくてはいけませんよ」

見とれてた頭が一気に冷えた

「もう！こんな状態じゃいつ事故にあうか‥‥」

『‥‥ぃ』

「え？」

『自分のことをいたわる余裕もないのに、自転車の事を気にかけてる余裕なんて無いに決まってるじゃないですか！！』

「ぐほっ」

振り上げた拳がみぞおちにクリティカルヒットした

「お、お嬢さん‥‥流石にみぞおちは効くよ‥‥」

『‥‥うっ、うぅっ』

「えっごめん泣かないで！！」

止まっていた涙が再び溢れだす

知らない人に注意されたのを八つ当たりして、勝手に泣いて‥‥

私ってば、やっぱり寂しい女じゃないか

「‥‥ほら、泣き止んでお嬢さん」

イケメンさんの手が背中に添えられたのが分かる

いい声で言えばなんでも許されると思いやがってイケメンこの野郎

「ほら、いいものを見せてあげよう！」

顔をあげて、と促され、私は涙でぐしゃぐしゃの女っ気ゼロの顔をあげた

『‥‥は？』

そして全てが吹き飛んだ

私の目に飛び込んできたのは

＿＿＿＿満開の桜

夜の街頭に照らされて、淡色をはなちながらくるくると舞っていた

「桜がみたかったんでしょっ？あ、ついでにサービスしてあげよう」

イケメンは人差し指をタクトの様に振り上げる

自転車が桜色に光り、次の瞬間、買ったばかりの様なピカピカの自転車が現れた

『‥‥は？』

いつもだったら、自慢気に笑うイケメンの顔がムカつくとか思う所だ

勿論、今の私にそんな余裕はない

「綺麗でしょ？やはり日本の桜花は素晴らしいねぇ！大和心がうずくよ」

子供の様にはしゃぐイケメンを前に、私は惚けた様にたっていた

「‥‥ね、素敵だと思う？この魔法」

『え？』

糖蜜色の瞳が微笑んだ

「お嬢さんに譲ってあげる」

唐突に、首に腕がまわった

抱き締められる感覚

＿＿＿チャリ

鎖の様な音がする

「これで君も魔法使いだね！

‥‥いや、戦士って言った方がいいのかな」

無邪気な声を聞いていた

「大事に使ってね。詳しい事は、従者にきーて！」

桜が散っていく

４月から、一気に５月になるように

「僕の事が見えたのなら、見つけられるよ」

『あ、の‥‥？』

「僕は夕霧。また会おうねお嬢さん」

桜が、消え失せた

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