人間…? 桜時side ページ11
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「おいおいおいおい、どうなってるんだ?」
「いや、それは僕もびっくりだよ。」
先程入店してきた男に驚かされるばかりだ。
洒落た洋服を着こなしている男はスラリとしたその足を組んで、俺が案内した一番端のカウンターに腰掛けている。
脱帽して露わになった頭は、やはり灰色だった。処々見える黄緑色はまるで煌牙に似ている。
「あの兄さん本当に人間か?」
「うーん。でも、僕たち以外に妖がいたとしても、今更…。」
「だよねー。」
カウンターに背を向け、二人でチラチラと灰色の青年を見ながらそうヒソヒソと話していると、今まで真暗な窓の外を眺めていた彼の琥珀瞳がこちらを見ていた。
ニコッ
ゾクリ…
笑いかけてきた彼。
一見、気持ちのよい挨拶のようにも思えるが、俺はその笑顔に背筋が凍りつくような、恐ろしい感覚を覚えた。まるで『全部聞こえているよ。それ以上言うな。』というような、言葉にしない圧力があるような…
「おい、お前何してくれてんだよ!?」
「きゃっ…!」
すると、カウンターから見て店内の奥の方にあるテーブル席の方から小さな悲鳴が上がる。
驚きすぐさま視線を移すと、一人の男性が物凄い勢いで女性に怒鳴ろうと大きく口を開けようとした所だった。
「は!?ちょ、おじさん!あれ!!」
「あー、もう次は何ぃ〜?」
俺は仲裁するため足を向けるが、漂い始めた一色即発の雰囲気に、下手に男を刺激すると女性の身に何か起きてしまいそうだと感じ動きを止めてしまった。
「てめえが溢したミルクのせいで、俺の一張羅が台無しじゃねーかよ!このスーツ、クソ高かったのに…。」
「すみま…!」
「謝ったら許されるとでも思ってんのか?牛乳は一回染み付いたらくせーんだよ。そんぐらい分かんだろ!?」
「ひっ…す、すみませんでした!すぐに…。」
女性はひどく混乱しているようで、机にあったペーパーをとろうと手を伸ばしたが、逆に食器に手があたってしまい、机からはみ出してしまった皿は地面へと降下していく。
バリーン!!
床に、白い欠片が花びらのように飛び散った。
そのことが、更に火に油を注いだのか、男の怒りが爆発する。男は女性の髪を鷲掴みし、罵声を浴びせた。これには流石に周りの客も席を立った。
「女は家で家事しときゃ良いんだよ!こんなところに来やがって、いい加減しやがれ!!」
「うっ…。すみませ…っ。」
「いい加減にするのはあんたの方だ。」
「あぁ?」
パシンッ…。
何かを叩いたような、乾いた音が響いた。
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妖氷 - 面白いです!これからも頑張ってくださいね? (2019年12月3日 18時) (レス) id: b589f6a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - りんさん» 返信が遅くなってしまって申し訳ありませんでした。あや恋を深めたいと思ったので書きました!面白いと思っていただけて嬉しい限りです。嗚呼、執筆していてよかったー!応援有難うございます!更新する時間を努力して確保しようと思います!よろしくお願いします。 (2018年12月9日 2時) (レス) id: 6a49c456d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - あまの雪さん» 返信が遅くなってしまいすみません。あや恋小説にチャレンジしよう!と思ったが吉日で書いたのでどうかなとドキドキしていたので、そう言ってもらえるととても嬉しいです!更新楽しみにしていてください! (2018年12月9日 1時) (レス) id: 6a49c456d5 (このIDを非表示/違反報告)
りん - あや恋の小説家はじめて見つけられてワクワクしながら読んだらとても面白くて夢中で読みました!応援してます! (2018年12月5日 23時) (レス) id: ac0881515d (このIDを非表示/違反報告)
あまの雪 - あや恋の小説今まで無かったので嬉しいです!面白い。低評価する意味がよく分かりませんね〜頑張ってください! (2018年12月2日 19時) (レス) id: 8c1fa0b23e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふてんにぶおんぷ | 作成日時:2018年11月21日 21時