あやかし少年少女物語第十部ー廻る因果篇ー〈イナGo〉 (ページ9)

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第二十一話 9 ページ9

ーーー稲妻町のシンボルとも言える鉄塔

鉄塔自体は随分錆びれてしまったが、その周辺の広場から見られる夕日は、知る人ぞ知る隠れた絶景である

その夕日も数刻前に沈み、街灯の灯りを除き暗闇に包まれたそこに
淡い桃髪を切りそろえた少年が佇んでいた
その服装は、ぴっしりと着こなされたダークグレーのスーツ
首元からはネクタイの代わりに銀色の十字架が下げられ、襟元の“Ω”のバッチが朱色に煌めいていた

「お待たせ……中々の収穫だったよ、アルファ」

そこに現れる、白い髪の少年
幾分か崩されているが、同じスーツに十字架
襟にはエメラルド色に煌めく“Ω”のバッチ

アル「ご苦労、ガンマ……それで」
ガンマ「ビンゴだよ、“お嬢様”は雷門中に居る
しかも、彼女の“誕生日とされている日”は“あのお方”の誕生日と一緒ーーー“あの日”ともね
例の情報に信憑性が出てきたね」
アル「ーーーそうか
こちらも調査を進め、分かったことがある」

アルファと呼ばれた少年が、夜空を仰ぎ見る

アル「この街のある地点から全体にーーーいや、その外に及ぶ範囲までにもかけて
強力な結界が張られていた
“あのお方”の痕跡を隠す、暗示の結界がな
周辺の思念から力を得て、土地に根を張っているため、我々の技術では今すぐの解除は不可能」
ガンマ「道理で、“お嬢様”が今まで見つからなかった訳だ……唯一の手がかりが曖昧にされていたんじゃ、捜しようがない」
アル「Yes……しかし問題は、誰が何のために？
そして……今回、情報を渡してくれた者は一体ーーー」

そこに、更に新たな陰

スーツはレディースだが、2人と同型のものだ
そして十字架に、“Ω”のバッチ

アル「5分の遅刻だ、ベータ」
ベータ「仕方ないじゃない、雑魚と遭遇しちゃったんですから
勘弁しちゃって下さいよぉーーー“お嬢様”と仲良くなれましたし」
ガンマ「じゃあ、接触出来たんだね」
ベータ「Yes☆ 可愛らしくて優しくて面白くて……チョロいお方でした」
ガンマ「妖力は？」
ベータ「実際にお目にかかれませんでしたがーーー恐らく、鬼
妖気も……間違いないでしょう」
アル「ーーー情報は正しかったと、判断して良さそうだな」

3人の少年少女が、街を見つめる

表情は様々だが、3人共瞳には強い意志を秘めていた

目的を果たさんとする意志を