あやかし少年少女物語第十部ー廻る因果篇ー〈イナGo〉 (ページ23)

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第二十二話 12 ページ23

フェイ「……結季、心配してたかな」

辺りが明るくなり始める中、同じルートで家に帰っていく
ーーー家が見えたところで、違和感に気付く

フェイ「車が……無い？」

昨夜の時点では、ちゃんと家の車があった
こんな朝早くから、“パパ”か“ママ”が出かけているというのか？

嫌な予感がして、結季の部屋の窓から家に入る
ボクの帰りを待っていてくれたのか、窓は出て行ったときのまま……しかし、部屋の主は不在だった

結季だけじゃない……家の中に、誰の気配もない、誰も居ない

フェイ「結季？ ……ママ、パパ？」

無駄だと分かっていながら、家中を探し回る……そして居間に入ったとき、テーブルの上のメモに気付いた、“ママ”の字だ

〈フェイ、ごめんね
結季を守るためには、貴方を待っている時間はなかったの
貴方なら、私たちを追えるはずだと信じてる
どこかで落ち合いましょう〉

フェイ「結季を……守るため？」

ーーー“ママ”が予想した通り、ボクに結季達の動向を追うのは難しくなかった
車の通ったルートに染み付いた結季の気配を、ボクは逃さなかった
どこまで行ってしまったかは分からないが、妖怪としてのボクの身体能力ならば何処かで追いつけるだろう

……気になるのはそれに重なる、重々しい念
妖力は無いけど、こうして残るほどしつこくねちっこい、追随する存在
“これ”から結季を守ろうとしているのか？でも、何で……

気配は蕾のつき始めた桜並木の道を抜け、稲妻町を抜け、人里離れた山中へ向かう道に続く
全く人気の感じないところまで来て……ようやく感知した

強くも儚い、彼女の妖気の本体を

間違いない、残り香でない彼女の妖力だ
しかし、どうしてこんなところで放たれている？
どうして……こんなに擦れて弱々しくなっていっている？