あやかし少年少女物語第十部ー廻る因果篇ー〈イナGo〉 (ページ13)

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第二十二話 2 ページ13

ーーー大きな住宅街からは少し外れた位置にある、小さな家
近くにある遊歩道沿いに並ぶ、満開の桜並木が窓からも見える

この家に来てから、何度目かの春だ

結季「フェイ、どう？変じゃないかなぁ？」
フェイ「似合ってるよ結季、制服」

結季が楽しげに身を翻すたび、真新しい制服の裾と腰まで伸びた銀髪が揺れる

今日から彼女は中学生だ

結季「フェイも一緒に通えばいいのに」
フェイ「……ボクは、無理だよ」
結季「……そっか
じゃあ、行ってくるね」
フェイ「行ってらっしゃい、結季」

これまた新しい鞄を片手に、結季は玄関を飛び出していく

出会った時からすっかり成長し、綺麗になっていった結季
それでも、性格は変わらないんだから

それに対して、ボクは……

「あら？結季、行っちゃった？」
フェイ「あ……うん、今出てっちゃったよ、“ママ”」

余所行きの服を着た“ママ”が、二回から降りてきた

「もう、入学式にはママも行くって言ったのに」
フェイ「あはは……すごくはしゃいでいたからね」
「全くねぇ
……いいの？フェイ、お留守番で」
フェイ「……いいの
だって、新入生と同じ様な見た目のボクが保護者席に居たら、目立っちゃうでしょ？」
「……そうねぇ」

“ママ”が、ボクをじっと眺める
……藤色の髪以外は結季と瓜二つな綺麗な人、結季もいずれこうなるんだろうか？

「……本当、フェイは全然変わらないわね」
フェイ「……」
「あら……もう出なくちゃ
行ってきます、フェイ……遅くならないようにはするからね」

ーーーそう、ボクは何故か変わらない
身長も体重も、この家に来てから全く伸びていない
最初に結季と出会った時は彼女のお兄さんと名乗れる程度の見た目の差があったのに……今では見た目なら彼女とボクは同年代、あるいは彼女の方が歳上だ

フェイ「せめて、ボクが何処の誰なのかーーーどういう生き物なのか、覚えていたらなぁ」