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二十七話 ページ29

《おいってば。》

『わあっ!』


ヌッっと目の前に顔が現れる。
男性だ。
凄く驚いてしまった。


《やっぱりアンタ、俺が見えてるんだな!》

『あ、貴方は...。』


見覚えのあるその顔は、教室の窓から見えた地縛霊のものだった。

つまりこの人は地縛霊。
正直、地縛霊は面倒くさい。
妖祓いとしてあるまじきことだが仕方が無い。

逃げよう


『あの、私急いでるんで。』

《俺だって急いでるんだ!走りながらでいい、聞いてくれ。》


走りながらでいいのか。
じゃあ、適当に流そう。
息を吐いてまた走り出す。

地縛霊もそれについてくる。
いっても、浮いているから楽そうだが。


《アンタ、今誰かを探してんのか?》

『まあ、そうです。』

《もしかして、女の化け物か?》


【女の化け物】
その単語に思わず足を遅める。


『知っているのですか?』

《ああ、俺はソイツから逃げてきたんだ。まあ聞いてくれ。》


それから彼は、色々なことを教えてくれた。

なんでもあの女は、他の妖や地縛霊を喰らい凶暴化しているという。
特に人間の魂を好んで喰らうそうで、地縛霊をよく襲っていたらしい。

彼はそれを知ってすぐに逃げてきたから無事だったそうだ。


《でもあの女、だいぶ魂を喰ったから今は相当強いと思うぜ。そろそろ生身の人間に手ぇ出しても可笑しくない。》

『…何故それを私に言おうと思ったんですか?』

《だって俺戦えねえから。》


私がやれと。
わかりやすくて助かります。

自分が戦えないからといっても、自慢げに言われると困る。
だけどまあ、いい情報が手に入った。
...いい情報ではないか。

とにかく、他の人に危害を加える前に止めないと。


《多分今アイツはあっちの方に行ったぜ。》


地縛霊が指を指す。


『ありがとうございます。』


軽くお礼を言ってから、私はまた走り出した。
こっちって確か空条君の家の方だった気がする。

そう思ったら何故か、自然と走るスピードが速くなった。

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不登校の自殺志願者 - 次への扉 ページ50のとこで、「この優しい口調はっ!?まさかっ!?」ってなりました!!何て言うか、物語の進め方がすごいんですよね!すごく面白いです! (2019年3月10日 13時) (レス) id: fed8378344 (このIDを非表示/違反報告)
魏杏妖遊(プロフ) - 雷獄丸さん» そうですか!そう言っていただけるとこちらとしても書きやすいです!!コメントありがとうございます! (2017年8月27日 20時) (レス) id: 8c44b8d3b9 (このIDを非表示/違反報告)
雷獄丸(プロフ) - 夏目友人帳くらいわかるよぉ!wもぉwこれからの頑張ってくださいねぇ!w (2017年8月14日 11時) (レス) id: bbb567e10b (このIDを非表示/違反報告)
魏杏妖遊(プロフ) - 黒蛇さん» コメントありがとうございます!雑鬼はわたしも大好きなのでどんどん絡ませていきます!可愛さが伝わって良かったです! (2017年8月11日 17時) (レス) id: 51648f87ce (このIDを非表示/違反報告)
黒蛇(プロフ) - 雑鬼が可愛すぎてやばいです!雑鬼との絡みをもっとお願いします! (2017年8月10日 20時) (レス) id: cc9de3dd63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魏杏妖遊 | 作成日時:2017年2月26日 20時

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