怪異に纏わるetc. (ページ4)

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桃 side

濵ちゃんから電話がかかってきて出ると、近くの病院にすぐ行って欲しいとのこと。
たまたま近くにいたしすぐ向かうと返事すると電話越しに安堵したような声。

病院の近くに向かうとしゃがみこんでる2つの影と離れてても伝わるよくないモノの気配。
これはやばいかも。手元の御札をぎゅっと握る。お願いやから今日も力貸してな。

しゃがみこんでる2つの影に近づくと見覚えのある姿で思わず声が出る。

「神ちゃんと流星何でこない所におるん、しげは？」

俺がそう言うと安心したんかポロポロ泣き出す神ちゃん。
何でも今日はしげがバイトでおらんし、たまには2人でどっか寄ろうと美味しいと話題のカフェに向かったのはいいけど、途中でアテられて動けんくなったと。

会話してる時にも漂う負の気配に思わず怯みそうになる。

今までここはこんなに空気が淀むことは無かったし、そもそもモノが出てくるようなとこちゃう。
適当に放り投げた形代は黒ずんでそのまま地面に落ちてった。
え……俺こんなん濵ちゃんが来るまで1人で相手せなあかんの……？

濵ちゃんに急いでこれはやばいかもとメッセージを送る。お願いやから早めに見てや……。

「六根清浄急急如律令」

澱んだ空気から神ちゃんと流星だけでも守ろうと結界を張る。結界は古くからうちの家系が得意としてきた術式で守りたいものが明確になればなるほど強固になるように改良がしてある。

「臨兵闘者皆陣列在前」

お呪いを唱えながら護符を投げる。出てきたのは俺と契約してくれてる式神さん。

「今日もお願いします」

日本刀を携えたその式神は俺が扱う中で1番強い。久々に使役するから不安やけどそんなこと言ってられへん。

きゅっと願いを込めるかのように護符を握る。
こういう時にしげがいたら守護霊さんで一発で伸せるんやけどなあ。

「のんすけの式神さん今日も絶好調やん」

気配がして横を見たら刀を構えた濵ちゃん。和服に模造刀を構えた濵ちゃんは様になってる。
霊力を込めた刀は模造刀でも霊的なモノを斬ることができるねんて。

「濵ちゃん遅い」
「ごめんて、結界張ってくれてんな」
「俺に出来るのそれしかないから」
「何も無いところから結界張るんは俺にはできひんからなあ」

やから助かったなんて頭をポンポンされる。俺ももう大学生やねんけどなあ。

式神に濵ちゃんのサポートをするように命じる。いつもよりは時間がかかりながらも浄化されていくモノに一安心。