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緑 side
目の前のテレビには大きく映し出されたゲーム画面。銃を構えたそのゲームはつい最近知ったFPSってゲームやろうな。
俺もやりたい！ そう目の前のコップを揺らしてみるけど集中してるんかりゅーせーは気付いてくれへん。
何をやっても気付いてくれへんりゅーせー。もうええもん。ゲーム画面を見るのも飽きてきて部屋を動き回る。
ドンドン、ドタドタ。
俺が動き回ると着いてくる音。俺が重たいみたいやん嫌やなあ。
「なあ、神ちゃん静かにしてやあ」
ゲームを終えたのかりゅーせーがそう言う。構ってもらいたくてお気に入りのフィギュアを揺らすけど、呆れた顔をしてみるだけ。
せや。
「うわ」
小さくやけど聞こえて来る声。驚いた間抜けな顔に思わず笑い声が出る。何回やっても慣れてないそのリアクションが面白くてついついやってしまう。
「神ちゃん、寝るで」
寝る準備を整えたりゅーせーがそう言うから布団に潜り込む。
いつの間にかりゅーせーの布団に潜り込んで俺が知ってる昔の話をすることがルーティンになってて。
りゅーせーは今まで出会った誰とも違うくて。もちろん今までもこうやって俺の姿を見れる人はおったけど、会話出来る人はおらんかった。
白澤様曰く、りゅーせーの前世が生前の俺と近い人やったんやないかって。滅多に見ないことやから大切にしいやってニッコリ笑いながら白澤様は言うてた。
「でな、それを食べた人は不老不死になるらしいねん。美味しいんかな」
「神ちゃんも不老不死みたいなもんやろ」
「やっていっぺん死んどるもん、不死ちゃうわ」
「今日の話は？」
「これで終わりやで！なあ、りゅーせー、ずっとここにおるよな……？」
答えへんのは分かりきってるのに何回何十回も聞いてしまう。その度に曖昧に笑うのも知ってる。
知ってんねんで、りゅーせーが大学を卒業したら就職してこの家から出てくこと。座敷童子は旅人について行くこともあるけど、座敷童子が出てった家が傾くこと。だからこそ俺にはこの家から出てって欲しくないことも。
りゅーせーは大人やけど俺の姿が見れるのは俺が望んでるからやって知らん。知って欲しいけど知って欲しくない。
妖怪の執着心は強いから、取られんようにずっと純粋無垢なままで。
またこの家に戻ってきたその時は。
『僕にもお返事くださいね』
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作者名：詩彗 | 作成日時：2022年8月7日 22時
