過去編.4 ページ39
「…え?」
Aはどうしてこんなことをするのか分からなかった。どうして、こわい、そんな言葉ばかりががAの頭の中をぐるぐる回っていた。
『…Aは僕がどうしていつも長袖か知ってる?』
「…し、らない…」
『だよね。知らないよね。Aは知らないよね
俺ね、親から暴力受けてんの』
そう言いながら捲った袖から見える腕は、痣やら切り傷でボロボロだった。
「な、んで…?」
『いつもは優しいんだよ、ウチの親。…でもね?お酒飲んだら人が変わったみたいに僕を邪魔者扱いするの。
お前なんかいらない
はやく消えればいい
なんで生きてるの?
お前なんて産まなきゃよかったって
必要ないんだって
笑いながら言うんだよ母親も父親も。Aはそんなこと言われたことある?ないでしょ?』
「…」
『どうして?どうしてウチの親だけ?Aの親もずっと働いて家に居ないのにどうしてAはいつもにこにこして楽しそうなの?
ねえ なんで?』
「……そ、んなの、わから、な…」
『…俺はずっとAが羨ましくて仕方がなかった。俺だけこんな気持ちなのがずっとずっと嫌で苦しくて悲しくて痛くて…
お前だけ狡いよ』
ゴッ
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作者名:銀我一等星 | 作成日時:2016年8月25日 11時