＊ ページ7
拝啓、あの夏を忘れられない君へ
そう始まる有名な話を思い出した。
自分と重ね合わせてみればなんとも滑稽で、笑ってしまう。
夏。
レポート作成も終わらせて、何となく一人で渋谷に来ていた。
右手にはマジバで買ったバニラシェイク。
暑い時に甘いものは少し辛いけれど、でもやっぱり大好物だし。
それも慣れてしまった。
どうして来てしまったんだろう。
人が多すぎてただでさえ暑いのに余計に温度が上がってしまう。
大規模な横断歩道を渡り、行く宛もなく歩き続けた。
バスケットボールストリート、というのを見て、思い出した。
多分、僕は。
あの手紙に書いてあることをしてみたかったのだ。
『京都は凄く暑いよ。盆地だからっていうのもあるけど、観光客がいっぱいで。どこに行っても人がいるから、溜息しか出ません。』
.
それは、昨日のことだった。
火神君とマジバで話していた時。
彼女出来たんだ、照れ臭そうに笑った彼を見て、思い出してしまった。
おめでとうございます、とても嬉しいです。
そんなことを言った気がする。
なんでお前が嬉しいんだよ、なんてバーガーの山から一つ僕に向かって投げる。
不意に泣きそうになった。
自慢の無表情で、火神君に彼女が出来るなんて思っていなかったので。なんて言えば、何か言おうと開いた口が悔しそうに閉じられる。
目線だけで伝わった。
お前は、大丈夫なのかよ。
そんなことを聞かなくてもわかるでしょう、大丈夫じゃないって。
よくあることだった。
発作のように、不意に泣き出したくなる。
記憶の中の彼女は、霞がかってよく思い出せない。
まるで、思い出すことを禁じられているかのようだと言えば、十中八九眉を寄せられる。
頭が可笑しくなったんじゃないかな、とか思われているんだろうか。
もういっそ、それでもいい。
だから、彼女を返して。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はなはな - 初めてのコメント失礼します 素敵な小説でした！赤司くんのお話の題名の意味って何ですか？ (2016年6月26日 21時) (
レス) id: f96d7679a1 (このIDを非表示/違反報告)
綵架(プロフ) - あざす!!あざます!! 頑張るね(( ありがとうあいらぶさゆ((´艸｀*)) (2015年10月12日 8時) (レス) id: a294735b06 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 綵架さん» 第2弾作って欲しいけど無理しないでください！！ これからも応援してます！ (2015年10月12日 0時) (レス) id: b1103d098f (このIDを非表示/違反報告)
綵架(プロフ) - さゆさん» ありがと!! みゃーじそん入りましたぁー← …というか、まず第二弾を出せるかどうかが謎なんだけど、できるだけ頑張るね(( (2015年10月11日 23時) (レス) id: a294735b06 (このIDを非表示/違反報告)
綵架(プロフ) - 陽鞠、＠秋桜さん» ありがとうございます!! いやいやいや、私なんてまだまだです… 励みになるお言葉、ありがとうございますm(*_ _)m 笠松さん!!…書けるかわかりませんが、精進します…(( (2015年10月11日 23時) (レス) id: a294735b06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綵架
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayakamakar1/
作成日時：2015年8月11日 10時
