【story2.】 ページ2
◇
不意に昔の事を思い出してしまう事がある。
それは最低最悪な思い出したくもない過去ばかり。
今すぐにそれを消し去ってしまいたい。
なんて、無理な話なんだけど。
トン、と爪先を地面に当てる。靴が踵をすっぽりと覆った。まだ履きなれないローファーは太陽の光を反射してキラキラと輝いているように見えた。
見慣れない風景が広がる通学路。最近越してきたばかりで、通っている高校への行き方しか頭には入っていない。
なんでもない日常。
所詮私は主役になんてなれないし、私が欠けた所でこの世の中は当たり前に回る。
存在する意味なんかない。
友達も、好きな人も居ない。両親は事故で亡くなっており祖母に育てられてきたので、親からの愛も分からない。
こんな私を愛情を持って育ててくれた祖母には頭が上がらない。
ふと我にかえり、小さく頭を振ってみた。
悲観的な考えを振り切るようにして。
日常が始まる。
・
教室に入ると、既に登校していたクラスメイト達が談笑をしていた。一度も話したことが無い人ばかりで、入学してから2週間は経ったが、顔と名前が一致しない人がほどんどだった。
「ねぇやばくない?イケメンすぎるんだけどー!!」
「それな?もう尊い、」
「ほんとにあの6人、王子様すぎるっ…!」
盗み聞きをするつもりはさらさら無いが、声は嫌でも耳に入って来る。
王子様って…、どういうあだ名だよ。
もっとマシなのなかったんか。
「ちょ、やばい。斎藤くん来たって…!」
「うそ!?挨拶したい、」
「今日もかっこよすぎじゃない?レベルが違うわ」
教室にまた一人、クラスメイトが入ってきた。
話を聞く限りどうやらこの、“斎藤くん”という人は6人の王子様たちの一人らしい。
「あ、さ、斎藤くん!おはよう!」
るぅと「おはようございます!るぅとでいいですよ?」
「話せたっ……、るぅとくん、って呼ぶね!」
るぅと「はい!」
…今、るぅとくんって言った…?
私は耳を疑った。その名前に聞き覚えがあったからだ。
机に入れっぱなしになっている名簿を取り出し、ひとりひとり名前を確認していく。
【7番:斎藤 るぅと】
指が止まる。心臓の辺りがきゅっと痛むのを感じた。
冷や汗が止まらない。今はどちらかといえば暑いはずなのだが、思わず身震いしてしまう。
『…6人、ってことは…』
いつもなら神なんて信じない。
けど、今は神がいる事を信じたい。
─どうか、この予感が外れていますように──。
◇
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ココナッツ(プロフ) - 続き楽しみ‥!頑張ってください(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ (2023年4月24日 23時) (レス) @page14 id: ef3e90460f (このIDを非表示/違反報告)
ぽむさま。(プロフ) - バイさん» コメントありがとうございます!その時の気分で書いているので絶対とは言い切れませんが、結果的には仲直りすると思います!仲直りしないにしても、地獄に堕ちる…みたいな事はないです! (2023年4月9日 15時) (レス) id: e3d1979fd3 (このIDを非表示/違反報告)
バイ - 仲直りするハッピーエンドですか?すとぷりが地獄に落ちるbad endですか? (2023年4月9日 15時) (レス) id: 8a4c8aac9a (このIDを非表示/違反報告)
ぽむさま。(プロフ) - うさぎんさん» わ!ありがとうございます😭面白いって言っていただけるのめっちゃ嬉しいです!!次も面白いって思って頂けるように頑張らせていただきます!🙏✨ (2023年4月6日 9時) (レス) id: e3d1979fd3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむさま。(プロフ) - 笹音さん» ありがとうございます!✨更新は遅めですが楽しみに待っていただけたらありがたいです!🥰 (2023年4月6日 9時) (レス) id: e3d1979fd3 (このIDを非表示/違反報告)
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