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船に帰ると晋助はまだ帰ってきてなかった。
そう言えば晋助がどこに行ったのか詳しい場所は聞いていない。
また子か万斉辺りにでも聞いてみるか。
また子「あ、おかえりなさいっす!」
丁度いい所にまた子がいた。
A「ただいま。また子、そう言えば晋助が今日どこに行ってるか知ってる?」
お土産のお菓子を渡しながら聞くと、また子が明らかに動揺した。
また子「いや…聞いてないっす。どこ行ったんでしょうね〜。」
これは知ってるな。
でも問い詰めてもまた子が可哀想だし、別のヤツに聞こう。
A「そっか!じゃあ、万斉か武市にでも聞いてみるよ。ありがとう。」
また子をその場に残して、万斉か武市を探すことにした。
武市「おやAさん、おかえりなさい。」
本当は万斉がいいんだけど、武市に遭遇した。
A「ただいま。武市は晋助が今日どこに行ったか知ってる?」
一応すれ違う船員全員に聞いたけど皆知ってる反応なのに知らないって言ってた。
これは完全に晋助に口止めされてる。
武市「いや〜、知りませんねぇ。」
流石、武市は嘘をつくのが上手い。
でも元諜報活動のプロを舐めるなよ。
目線の動きや呼吸や会話の抑揚、小さな動作一つ見逃さない。
A「私に嘘が通じないのは分かるでしょ?他の皆は晋助に口止めされてて可哀想だから、武市に聞いてるの。」
ここまで隠されると逆に気になる。
武市に詰め寄り、問い質す。
万斉「二人共何をしてるのでござる。」
そこに探していた万斉が通りかかった。
A「晋助が今日どこに行ったか聞いてたところ。万斉も知ってるんでしょう?」
どうせ私の所に必ず帰ってくるから、別にどこに行こうが気にしないけど。
って言う感じを出しながら万斉に聞く。
万斉「晋助は…吉原に行ったでござる。」
私が本気で武市を締め上げるつもりだと察したのか、あっさり口を割った。
そうか…吉原か…。
吉原!?
A「へぇ。なんだ。そんな事をずっと隠してたんだ。」
平静を装いながら、言葉を繋げる。
A「晋助もそんなの口止めしなくてもいいのに。教えてくれてありがとう。それじゃ、部屋に戻るね。」
万斉達の返事も聞かずに私は部屋に戻った。
A「吉原かぁ…。あそこは法が通じないし、悪巧みにはうってつけだよね。」
別に吉原に行ったこと自体はどうでもいい、仕事だろうし。
それを皆に口止めしたって事は、後ろめたい気持ちがあったから。
そっちの方が気に食わない。
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作者名:土方朱璃 | 作成日時:2024年3月16日 11時