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過激派攘夷志士であり、鬼兵隊の総督である高杉晋助。
冷酷、無慈悲で世界をぶっ壊したいで有名なお方だ。
そんな泣く子はもっと泣くであろう恐ろしい人と噂される晋助だが、実は違っていたりする。
晋助「おい、いつまで無視するつもりだ。」
シーツの洗濯やら備品の整理やらをする為に船内の廊下をあっちへこっちへする私の後ろをずっとくっ付いて来る晋助。
どうせくだらない後回しにできる用事なのでほって置く。
また子「また晋助様がAさんの後くっ付いて歩いてるっす。」
万斉「夫婦と言うより親鳥と雛でござるな。」
そんな事を言いながら鬼兵隊の皆は私と晋助の様子を暖かい目で見守っている。
毎日のことだからもう誰も気にしていないだけなのだ。
A「で、晋助は何?」
やっと一息ついてから晋助の要件を聞く。
私に相手して貰える事がそんなに嬉しいのかちょっと笑顔である。
晋助「茶が飲みたい。」
ほら、くだらない用事だった。
A「わかった。持ってくから仕事に戻って、総督殿。」
私の後ろにくっ付いてる間、彼の仕事は全く進んでいない。
困ったものだ、本当に。
晋助「お前のもあわせて2人分持ってこいよ。」
嬉しそうに自分の仕事に戻る晋助を見送った。
ヤカンでお湯を沸かしながら、周りに誰も居ないことを確認する。
A「はぁぁ。何ホント可愛すぎるんだけど晋助。」
一人で我慢していた感情をぶちまける。
A「私が無視しても諦めないで話しかけて来るし、あの応えてあげた時の顔!可愛いっ!カリスマ性溢れる総督様はどこ行ったんだ!」
世の中の人には多分晋助は鬼とかそう言う恐ろしいものの象徴的な奴に見えるだろう。
でも私にはドーベルマンの仔犬の様に恐ろしさよりも可愛いが勝るものに見えている。
A「一緒にお茶を飲みたいが為にずーっとくっ付いて来てたなんて、はぁぁ、可愛いすぎ。ムカつくくらい可愛い。何なのあれ。」
床に座り込み晋助の可愛さに悶え続けていると、お湯が沸いた音がした。
A「よし。スッキリした。」
急須にお湯を入れて、2人分の湯呑みも一緒にお盆に乗せて晋助の部屋へと向かった。
また子「あんな大声で誰にも聞かれてないって思ってるAさんもちょっとぬけてて可愛いっすよね。」
万斉「晋助。早く部屋に戻らぬとAに聞き耳立ててたのがバレるでござるよ。」
晋助「あァ。」
嫁にかまって欲しい晋助と、実はバレバレだけど素直になれないAさんのお話。
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作者名:土方朱璃 | 作成日時:2024年3月16日 11時