君と見る桜をもう一度… (ページ8)

今日:13 hit、昨日:22 hit、合計:9,586 hit

・ページ8

｢｢こんにちはー！JO1です！｣｣

円を作るように建てられた病院の真ん中

作られた仮設ステージに立って

いつものようにマイクを握る。

病院という穏やかな場所で

さすがにスパカリや無限大をやるわけにはいかないから

他のアーティストさんの曲をカバーすることになっていた。

～～～～～♪♪

純「最後の曲になりました！｣

極寒の空の下、

歌い始めは寒すぎて凍るかと思ったけど

歌っていたら本当に楽しくて、すぐに身体も温まって

あっという間に最後の曲になった。

ラストは「白い恋人たち｣

前に朝の情報番組で歌わせてもらったことがあるけれど

雪の降る空の下で歌うのは格別だ。

純喜が歌う最後のサビの数拍前

マイクを構えて「届け｣という思いを込めて遠くを見上げた。

その時だった。

奨「（人1）……？｣

マイクを持っていた手の力が抜ける。

見間違えるわけがない。

どれだけ時が経ったって、忘れることなんかできなくて

1年間、俺が恋焦がれてずっと探し続けた人。

ステージの真っ正面。

さっき取材した小児科の子供達が

窓から顔を出す、ちょうどその上。

窓ガラスに片手をついて

こっちを見ているのは

紛れもなく、（人1）だった。