君と見る桜をもう一度… (ページ5)

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「休憩入りまーす！！」

その一声が聞こえた瞬間に
部屋の片すみに置かれた毛布に飛び込む。

奨「さっっむい…」

今日の仕事は都内で1番大きな総合病院

大病と闘う子供達を取材して

最後に中庭で純喜の2人で

ミニコンサートという形で少しだけ歌う。

大規模を売りにする病院というだけあって

小児科だけでもかなりの広さを誇っていた。

純「あかん…なんか俺泣きそう」

同じように毛布にくるまった純喜が隣に腰を下ろす。

その目は少し、涙で潤んでいた。

奨「うわ、始まる前あれだけ俺に泣くなって言ってたのに」

純「いや、だってさリアルやん。ほんまに」

そう、闘う病は子供達の数だけあって

同じ数だけ闘う親御さんたちがいる。

小さな身体に幾重にも残った注射の後や

抗がん剤で髪が抜けきってしまった子

薬の副作用で嘔吐を繰り返す子

勿論、全てが全てをカメラに写すわけではないけれど

カメラに写ってないところのほうが

病院の現実を映し出している気がした。

純「俺、飲み物買ってくる」

奨「お。俺も温かいの買ってきて」

気分転換にと純喜は外に出て行ってしまった。

｢「しょうくーん！！」」

俺もどこか散歩してみようか。

そう思って毛布を着たまま立ち上がると

取材した子供達が足元に向かって突っ込んでくる。

奨「おぉ！どうした？？」

パジャマだけで
俺たちよりも薄着をしているから寒いのだろう。

俺の足にしがみついて毛布の中に入ってくる。

こんなに小さな子達と関わることなんて

デビューしてからほとんどないから

少し微笑ましい。