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目を開けた瞬間に飛び込んでくる眩しい光に
思わず目を細めた。
しばらくすると段々と焦点が合ってきて
私の右頬に手を添える奨くんと目が合った。
『…しょ…うくん』
大きくて暖かい。
親指でそっと目の下を撫でられた時
自分が眠りながら泣いていたことに初めて気がついた。
その暖かい手は頬を離れて今度はおでこを包む。
奨「まだ熱いね…」
そう言って乱れた前髪をそっと直すと、私の頭上にあるナースコールを押した。
奨「(人1)、起きました、お願いします」
シンプルにそれだけ喋ると椅子に腰を下ろす。
…なんだかとても長く眠ってた気がする。
身体はだるいし、何より熱い。
首もとにはぬるくなったアイスパックが巻き付けられている。
なにがなんだか分からなくて奨くんの動きを目で追っていると、
奨くんはベッドの柵に手をついて私の顔を覗き込んだ。
奨「…」
『…』
2人とも無言のまま、見つめ合う。
泣きそうな顔。
眉を八の字に下げて無理やり口角を上げて
微笑もうとする奨くんの表情が
あまりに悲しくて見ていられない。
先に口を開いたのは奨くんだった。
奨「3日間…3日間、意識が無かった…」
身体の奥底深くから声をやっと絞り出すように、重たい声で奨くんはそう言った。
『…みっか…かん…?』
口元に当てられた酸素マスクが邪魔をして話しづらい。
奨くんはベッドの柵に手を着いたまま辛そうに1度下を向くと、もう一度私の顔を見つめる。
奨「俺が仕事でここに来て、
その翌日に、(人1)にもう1回会いに来た」
「俺が手引っ張っちゃって、
点滴外れたの覚えてない…?」
そう言われて手首を見れば
記憶にあった方の手には丁寧に包帯が巻かれて、
逆の手首に針が刺されていた。
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作者名:しろごはん | 作成日時:2023年10月30日 21時