君と見る桜をもう一度… (ページ25)

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5月__『君がくれた愛の意味を知る』ページ25

（人1）side

夢を見た。

選ばれる子。選ばれない子。

毎日、毎日。

小さな部屋の窓から、
車に乗った女の人と男の人が降りてくるのが見える。

その後すぐに、その人たちは私たちの所にやって来るんだ。

…まるでケーキ屋に来たお客さんが

ショーウィンドウの前で食べたいケーキを選ぶみたいに。

そして、少ししたらまた、窓から見える。

大きな荷物を抱えたその人たちに手を引かれて連れていかれる友達が。

何回も、何回も見てきた。

大きくなるに連れて一緒に遊んでた友達はいなくなっていく。

みんながみんな…なにも言わずに消えていく。

私だけを残して。

手を引かれて施設を去っていく背中に向かって叫ぶんだ。

「行かないで」

「ひとりにしないで」

「さみしいよ」

手を伸ばしても届かない。

それはとても辛くて、悲しくて、寂しくて。

その後ろ姿を追いかけようと走り出したとき、

それは後ろから回ってきた手に阻止される。

優しくて…暖かい。

涙が止まらない私を

そっと包み込んでくれて

落ち着かせてくれる…そんな香り。

…私が…

大好きな人の香り

『んっ…』

頬に触れる大きくてゴツゴツした手

そこでやっと、目が覚めた。