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『ウッ…ツッ、ヒック…』
大粒の涙をボロボロと流す(人1)が床にへたり込む。
俺も涙が止まらなくて着ていた服に顔を埋めた。
『…もう会いにこないで…』
消え入るような声でそう言った(人1)は立ち上がった。
だけど、その身体は斜めに傾く。
奨「危ないっ…!」
壁で頭を打つ間一髪の所で受け止めた。
奨「(人1)?(人1)、大丈夫…?」
さらになくなった顔色と真っ青な唇
浅くなった呼吸
下瞼に触れればびっくりするほど真っ白だった。
目を固く瞑ってしんどそうにしている。
奨「ごめん、先に処置してもらうべきだったよね…」
これだけの血が出てるんだ。普通の人でも貧血になる。
奨「ごめん、今だけ許して…?」
自分が着ていたコートを脱いで(人1)の肩に掛けた。
壁にもたれさせたぐったりとする(人1)の前に背を向けてしゃがむ。
奨「乗って…?
看護師さんいないからここらへん…」
本当は誰かの力を借りて背中に乗っけてほしかった。
だけど生憎、ここの廊下は看護師さんもいないし人気がないから(人1)に少し余力を出してもらうしかない。
絶対に乗ってくれないと思った。
コートを丸めて投げつけられる。そう思ってた。
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作者名:しろごはん | 作成日時:2023年10月30日 21時