君と見る桜をもう一度… (ページ22)

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奨｢（人1）…｣

1年振りに見た、

俺をまっすぐに見る（人1）の顔。

だけどその顔は…怒りに満ちていた。

『そんなに軽々しく言わないで』

ぞっとするほど冷たい目線を向けられる。

思わず1歩、後ろに下がってしまう。

そんな圧さえ感じられた。

『何も言わずに家を出たことは悪いと思ってる…だけど…！！』

『この1年、良くなるためなら何だってやってきた！

まだ使われてない薬だって何回も試したし

手術なんて数え切れないくらいやった…！

でも…何も変わらなかった！！！』

感情が頂点にまで達してしまった（人1）は目に涙を浮かべて

肩を上下させながら俺をキッと睨みつける。

手首を押さえたハンカチを床に投げつけて

（人1）は胸もとの病院着を少し捲った。

『手首も腕も針の痕だらけ、

身体だってそう、切り傷だけ残して何にもならなかった…！』

奨｢…っ……｣

捲られた胸元からそれは十分に見えた。

色白の身体を2つに割くようにできた大きな傷

そして…変わらず血の流れる手首

それはあまりにショックで、衝撃的で

まるでカメラのシャッターを切るように

この一瞬でよく頭に刻まれた。

止まりかけてた涙がまた視界が歪ませる。

『何も知らないのに軽々しく言わないで！

もう何もないの！！

お医者さんたちにも私にも、

純喜にも奨くんにも…！！』

（人1）の悲痛な叫びが俺の耳にこびりついて離れない。