・ ページ15
翌日。
朝から入っていた情報番組の収録を瑠姫と変わってもらって、再び病院を訪れた。
「何があったか知らないけど、
そんなんで出ても何も喋れないでしょ」
何も聞かずにそう言って代わってくれた瑠姫には頭が上がらない。
病院の前。
会計を待つ患者さんや忙しなく働く受付の人
昨日の純喜の話が頭をよぎる。
________________「(人1)はまだ…想ってるよ、奨くんを…」
俺は…
何もかもから目を逸らしたくて
全てを無いことにしたくて
どうやって忘れるか。
それだけを、ただずっと考えていた。
だけど昨日、目に涙を浮かべて話をしてくれた純喜を見て覚悟を決めた。
このままじゃ納得なんて全然出来ないから。
1年が経った今、(人1)の想いなんて何一つ
俺は聞いてはいないから。
(人1)にもう一度会いに行く。
(人1)の全てを受け止めて、ちゃんと話をしようと。
昨日、無我夢中で駆け上がった階段を横目で通り過ぎてエレベーターに乗る。
3という数字を押した瞬間、
覚悟を決めたはずなのに急に怖くなってきて
手に持っていた紙袋の取っ手をギュッと握りしめた。
朝の病院は人が少ない。
エレベーターは途中で止まることもなく
あっという間に3階に到着。
降りてすぐに
ナースステーションへ声をかけた。
奨「あの…昨日は申し訳ありませんでした」
取っ手がぐちゃぐちゃになってしまった紙袋に少し申し訳なさを感じたけれど、お詫びのお菓子を差し出す。
あれだけ大きな騒ぎを起こしただけあって
「あぁ、(人1)ちゃんの…」と
ほとんどの看護師さんたちが俺を覚えていた。
大勢の看護師さんにガン見されるのはちょっと気が引ける。
思わず後ずさってしまいそうになったとき、
奥から1人、比較的若く見える看護師さんが現れた。
96人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しろごはん | 作成日時:2023年10月30日 21時