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純「ぬぁぁぁ!!もうええ!
一人で食べるわ!!」
せっかく作ったケーキも料理も
保存の効かないものばかり。
どうせ捨ててしまうなら
1人で全部食べてやろうと思い
椅子に座ってフォークに
カルボナーラを巻き付ける。
純「あいつ、
自分の誕生日忘れてんとちゃうか…?
もしかしてアホちゃう…?あいつ」
(人1)「なんか言ったかーー!!!!!」
純「っえぇ!?はぁ!?」
カルボナーラを口に運びながら
自分の誕生日なのに帰らない彼女への
愚痴を思わずこぼしてしまった時だった。
リビングのドアが勢いよく開いたと思えば
そこには
でっかいスーツケースを抱えた(人1)がいた。
え?俺さっきまで電話して帰れん言われたよな?
え?聞き間違い?俺…疲れてる?
(人1)「固まってるよ、純喜(笑)」
俺の顔をみてドアの前で爆笑しているのは
紛れもなく1年前に
日本を発った彼女で間違いはなくて
相当ツボに入ったのか
お腹を抱えてゲラゲラと笑っている。
純「本物やんな…?」
(人1)「うっわ失礼、本物だよ!」
腰に手を当てて頬を膨らます彼女に近づいて
相変わらず真っ白な頬に触れれば
やっと実感が湧いてきて
そのまま彼女を力いっぱい抱きしめた。
純「(人1)っ!!!!!!」
(人1)「ただいまー!純喜!!」
腕の中にいる彼女もジャンプして
俺にわしっとモモンガのようにぶら下がる。
1年振りに感じる彼女の香りと温かさは
何も変わったりなんかしてなくて
たった1年なのに懐かしさを感じる。
純「帰らん言うたやん、
まじで帰ってこんって思った」
(人1)「普通に帰る予定だったよ?
ちょっと前から玄関にいたんだけど
アホちゃうか〜って聞こえたから
今だ!と思って出てきた(笑)」
俺に抱きつく彼女は悪戯めいて笑う。
やることなすこと
全てが子供みたいで可愛らしい。
純「(人1)…?約束覚えとる??」
(人1)「ふふっ…もちろん」
(人1)を床に下ろして
綺麗な彼女の左手を取る。
薬指には1年前と変わらずに
ピンクゴールドの指輪が輝いていた。
純「俺と…結婚してくれませんか…?」
(人1)「…はい、喜んで」
1年振りに彼女に落とした優しいキスは涙の味がした。
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作者名:しろごはん | 作成日時:2023年7月8日 12時