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(人1)side
純喜ほんまにごめん
(人1)大丈夫だよ、行ってくるね
ビザを取ったり荷物をまとめたり
もちろん学校の仕事も詰めに詰めて
あっという間に出発の日がやってきた。
この日の為に新しく買った
大きなスーツケースをゴロゴロと転がして
空港の椅子に腰掛ける。
(人1)「まぁ、仕方ないよね」
1か月前から「空港までついて行く!!」と
堂々たる宣言をして
休みまで取ってくれていた純喜は
朝から入った仕事が長引いて
今ここにはいない。
純喜まじ悲しい。ほんまに。
(人1)仕方ないよ、向こうに着いたら電話するね
見送りに来れなかったことが
相当悔しくて悲しいようで
1時間前くらいから嘆きのLINEが止まらない。
(人1)「まぁ…そりゃあ私も寂しいよーってね」
1年も会えないんだもの。
それは私だって寂しいし見送って欲しかった。
でもこんなこと慣れっこだし
だだこねたって仕方ないから口にはしない。
(人1)「はぁぁ…って…えぇ!?!?」
トーク画面を閉じて携帯を置き
顔を上げた時だった。
向かいの電光掲示板に映された文字に
思わず手元の空港券を見直す。
(人1)「もう時間じゃん!!!」
15時搭乗開始だと思っていた飛行機が
15時発であることに気がつく。
時間まで10分もない。
(人1)「あぁ、もう…真反対じゃん」
よりによって搭乗口は
今いる所の真反対。
椅子に座ってくつろいでる場合じゃないと思い
大きなキャリーケースに手をかけて立ち上がる。
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作者名:しろごはん | 作成日時:2023年7月8日 12時