溢れる愛を君に2【河野純喜】 (ページ18)

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ｶﾞﾁｬｯ

（人1）「純喜…」

上に上がってきてと言えば

漫画のみたいに

えーんという効果音がつきそうなくらいに

大泣きしながら素直に上がってきてくれた。

（人1）「泣かないで〜ごめん、ごめんね純喜｣

純喜の背中に手を回す。

そしたら純喜は

私よりもっと強い力で私を腕に収めた。

純「神様叶えてくれた願い事

無駄にするとこやったわ…」

私が眠ってたあの頃、

他に何もいらないから

私を目覚めさせてくれ。

そう願ったのに

もう1回願い事しようなんておかしい話だ。

そう思ったらしくて

苦しいほどに私を抱きしめたまま

純喜はまだ泣いてる。

（人1）「ごめんね、ごめん純喜」

泣いている純喜を抱きしめてたら

自分まで涙が溢れてきて

私よりもボロボロに泣いている純喜に

涙をそっと拭われる。

（人1）「純喜…」

純「ん？」

身体を離して

涙の跡がついた純喜の顔を見上げる。

泣いてるのに

首を傾げて目尻を下げて

優しく微笑むものだから

純喜はやっぱりどこまでも優しい。

（人1）「…聞いてくれる？私の気持ち」

自分の本音を打ち明けることは怖い。

嫌われたらどうしよう。

もしかしたら怒るかもしれない。

どんなに純喜を信じていても

そんな不安が押し寄せる。

純「当たり前やん。聞かせて。

（人1）の気持ち。全部聞きたい。」

震える私の手を大きくて骨ばった手で

優しく包み込んで

純喜は私の目をしっかりと見た。