溢れる愛を君に2【河野純喜】 (ページ16)

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（人1）「どうしようかねぇ〜」

夜

ベッドに寝っ転がって

学校で貰ったパンフレットに再び目を通す。

純喜と向き合う勇気は

貰えたつもりではいたけれど、

留学のこともあって

早々に仕事帰りに家へ帰るなんて

まだ出来なかった。

（人1）「グローバル…」

A4の紙をこれでもかと埋め尽くす文字列の中で

ふとその言葉に目が止まる。

"グローバルボーイズグループJO1"

純喜だって今こうやって

自分の好きなことを仕事にして

世界を飛び回ってるわけだし

私もアメリカで英語やっちゃう？？

グローバルな彼氏いるなら

私もグローバルになっちゃおうかな

（人1）「いや、真面目に考えよ」

悩みすぎて考え方がアホっぽくなってきた。

（人1）「ぬぁぁぁぁあ！！」

なんでこんなに次々と

悩み事が増えていくんだろう

26にもなってこんなに悩むことあるか？と

悩みを通り越してイライラしてきて

枕に顔を埋めて叫んでしまう。

(（人1）〜！！！！)

枕で遮られた真っ暗な視界の中で

遠くから自分の名前を呼ばれた気がした。

はっ！と起き上がって

静かに耳を済ませてみる。

（人1）「………気のせいか…」

ベッドに座り直すと何も聞こえてこない。

考えすぎだ、空耳まで聞こえてるじゃないか

ラテでも飲んで一息つこうと立ち上がった時だった

純「（人1）ーー！！！！！」

（人1）「え！？」

絶対に聞こえるはずのない純喜の声が

窓の外から聞こえて

思わず駆け寄って、窓を勢いよく開ける。

純「やっと出てきたぁ！！遅いねん！！」

（人1）「いや！ちょ！なにしてんの！？」

窓を開ければ、アパートの広場から

大した変装もせずに

半袖、短パン、サンダル、

おまけにマスク無しの純喜が

こっちに向かって手を振っている。

純「気づくの遅いわぁ！！！

どれだけ俺に叫ばす気やぁ！！」

（人1）「ちょ！降りてくるから！」

いくら夜だとはいえ

こんな団地の真ん中で

売れっ子アイドルを叫ばせるのは

なかなかに危ない、相当危ない。

とりあえず家に純喜をあげて話をしよう

そう思って窓を閉めようとした。