時を超えて君に…【白岩瑠姫】 (ページ22)

今日:2 hit、昨日:28 hit、合計:6,205 hit

𝑦𝑜𝑢𝑟 ℎ𝑎𝑛𝑑 𝑡ℎ𝑎𝑡 𝑙𝑒𝑎𝑑𝑠 𝑚𝑒… ページ22

『瑠姫？入るよー？』

カーテンからマフラーをつけた(人1)がひょこっと顔を覗かせる。

結局あのHRの後は
クラス全員が見てるにも関わらず
大泣きしだした俺を皆が心配して
保健室に連れて行かれた。

具合が悪いわけでもないし
それどころか普通に元気だったけれど
ベッドに横になるよう促されれば
身体は相当疲れていたようで
あっという間に寝てしまっていた。

『田中先生が瑠姫の家、
連絡したみたいなんだけど誰も出ないんだって』

瑠「っえ！？」

あぁ、重かったぁ。なんて荷物を床にどすんと下ろして
おばあちゃんみたいに腰をさすりながら
軽々と言いのけた(人1)の言葉に驚いて
自分でも聞いた事のないような声が出た。

『うん…？ま、まぁ出ないらしくてね？』

俺を異様な目で見つめながらも(人1)は淡々と話を進める。

『お前のイケメン彼氏が疲れておかしくなってんだから
送ってってやれ〜って私も早退になった！！！』

いぇい！って満面の笑みで俺に向かってピースをしてくる。

いやいやいや、ゆるすぎる。
彼氏を家に送るためだけに彼女の早退が
許されるなんてどんだけゆるいんだこのクラスは。

思わずツッコミを入れそうになったけど、心の内に閉まっておいた。

上履きを履こうとベッドから脚を下ろして
かかとに手をかける。

『ねぇ瑠姫？』

不意に名前を呼ばれて顔を上げたら
すぐ目の前で(人1)が
脚を折りたたむように小さく座っていて
鼻と鼻がくっついてしまいそうなくらいの距離に(人1)の顔。

瑠「ちょ、おまっ…」

あまりにも近くて思わず赤面してしまう。

そんな俺を見て、
(人1)はやってやったぞと言わんばかりの悪戯めいた笑みを浮かべた。

『行くよ！！！！』

まだ上履きもまともに履けてない俺の手を取って(人1)は走り出した。