時を超えて君に…【白岩瑠姫】 (ページ3)

今日:21 hit、昨日:17 hit、合計:6,196 hit

𝑇ℎ𝑒 𝑠𝑐𝑎𝑟𝑠 𝑡𝑒𝑙𝑙 𝑡ℎ𝑒 𝑠𝑡𝑜𝑟𝑦. ページ3

瑠｢(人1)……｣

実感も湧かなければ涙も出ない。

ただ(人1)の棺の前で、遺影の前で立ち尽くす俺。

隣に立った担任が棺の中の(人1)の手を取った。

担｢…白岩…、これ…。｣

裏返された真っ白な(人1)の手首には

幾重にも重ねられた見るに堪えない無数の傷跡

ドクンと大きく1発、心臓が波打った。

なんで。どうして。

そんなこと聞きたくても目の前の(人1)の命はもうここには無い。

自分の頬を拭った手が濡れているのを見てあぁ、俺泣いてんだってやっとわかった。

担｢付き合ってたんだろ…？

何か知らなかったのか……｣

俺の肩に手を乗せた担任の目も涙で濡れていた。

知ってるわけがない。分かるわけがない。

昨日まで当たり前に俺の隣にいて

一緒に飯食って、腹抱えて笑って、夜は電話して

卒業旅行はどこに行こうかなんて話してたんだ。

こんな悪夢、誰が想像出来ただろうか。

頼む、夢であってくれ。

そう願っていくら目を閉じても

映し出された光景が変わることなんかなくて

あっという間に(人1)の葬儀が終わり

俺は高校を卒業した。