時を超えて君に…【白岩瑠姫】 (ページ13)

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𝐴𝑙𝑙 𝑚𝑒𝑚𝑜𝑟𝑖𝑒𝑠 𝑎𝑟𝑒 𝑐𝑜𝑛𝑛𝑒𝑐𝑡𝑒𝑑… ページ13

ﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯ!!!!!

完全に停止した俺の思考なんかを他所にして
部屋のドアは外から叩かれてけたたましく音を響かせる。

「おい!!聞いてんのかｺﾞﾙｧ!!!!!!!」

瑠「ご、ごめんなさい！！！！」

ドア1つ隔てた向こう側から聞こえてくる得体の知れない怒鳴り声にこれまで感じたことの無い恐怖を覚えて必死に声を張り上げた。

怖い。怖い怖い怖い。

いつの日かデビューしたての頃に純喜とカメラを回しながらお化け屋敷に入った記憶があるけれど、そんなものとは比べ物にならないくらいの恐怖。

「お父さん!!やめてください!!!」

「うるせぇ!!引っ込んでろ!!!!!」

「ｷｬｧｧｧｱｱｱ!!!!!!」

え？メンバーじゃない。事務所の人じゃない。

絶対に今まで聞いたことのない声だという自信だけは恐怖の中でもしっかりと湧いてきた。

しばらくすると気が済んだのか遠ざかっていく足音が聞こえて再び静寂が訪れる。

「瑠姫お母さんは大丈夫だから、

窓から出て学校に行きなさい。

制服と弁当は昨日の晩に机の上に置いてるわ…」

男の怒鳴り声が収まったあと蚊の鳴くような声でこれもまた聞いた事のない女の人の声が聞こえてきた。

母さん…？母さんの声じゃない。
母さんは俺の前でも自分のことは「私」って言うし、何より窓から外に出ろなんてそんな下品なこと、誰よりも嫌う人だ。

カタカタと震える身体で懸命に頭を上げて窓際の机を見れば、聞こえてきた声の通り少し不格好に畳まれたカッターシャツと弁当袋が置かれていた。

瑠「学校…制服、弁当…」

懐かしさすら感じる言葉を口にすれば嫌でも思い知らされる。

涙が浮かんだ視界の中で全てが綺麗に繋がった。

瑠「10年前……高3の冬…？」

俺が目覚めたこの世界は10年前。

そう。俺が(人1)を永遠に亡くした
あの、高校3年生の冬なのだ。