QuizKnock"ライター"の伊沢です ３

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「志賀さん、この絵はいつ頃の絵ですか？」

志「これはこの作者が奥さんにプロポーズする時に書いた絵だね……えっと、」

「じゃあ70年代辺りですか？」

志「あ、そうそう。あれだけでわかったね。流石Aちゃん」

「前にクイズで聞いたんです。役に立ちました」


美術館の中で邪魔にならないよう小声で話を続ける。

そこまでピシッとしている美術館ではないので聞き覚えのあるクラシック音楽が流れている中、所々から話し声が聞こえる。

志賀さんに｢何でこの美術館なんでしょうね？｣と聞いたところ｢……河村さんがここなら多少大きな声出しても怒られないからAちゃんにピッタリだねって｣と言いながら申し訳なさそうに眉を下げて私を見た。

河村さんの中で私がどんなイメージなのか気になるが今はそれよりも志賀さんと美術品を見ることの方が大事だ。


「記事、結構書けそうですね」

志「そうだね。絵だけで結構話したからね」


気になる絵の前で止まりながら、志賀さんの好きな絵の前で止まりながら話をする。

美術館に入る前の志賀さんやオフィスで河村さんと話していた感じでは彫刻も含めて1本書き上げられたら、という話だったが絵だけで十分記事が書き上げられそうだ。


「お土産買っていきましょうか！」

志「……そんな悪い顔しながらその提案することある？」


ムンクの展覧会が東京に来ていた時にはお土産ショップに『叫び』のバルーンが売っていたと、そのバルーンを部屋に飾っている美術の好きな友達が言っていた。

面白いなぁとは思ったが買おう！ とはならない。そんなお土産を河村さんに買っていきたい。

小さく目立たないお土産ショップに足を踏み入れるとぬいぐるみが売っているのが目につく。


「うーん、河村さんっぽいもの無いですね」

志「これとかちょっとぽいんじゃないんじゃない？」


私の悪い考えなど知らない志賀さんは夜空を閉じ込めたような綺麗な石のついたキーホルダーを手に取る。

暗い色だが輝きを持つ石は河村さんっぽさに溢れていた。


「いいですねこれ！」

志「買ってい、あ、やっぱ違うのにしよう」

「え？ なんでですか？」


ポップには『ラピスラズリ』と可愛い文字で書かれている。


「せっかく可愛いのに」

志「じゃあ今日付き合ってくれたお礼にAちゃんにと、川上くんにお土産で買うね」


志賀さんは河村さんへのお土産だったはずのキーホルダーを2つ持ち、レジへと1人で歩いていった。ナチュラルな奢り……!!

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