QuizKnock"ライター"の伊沢です ３

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河「AちゃんはQuizKnockのライターで美術といえば誰のイメージ？」


河村さんからの質問に少し考える。

QuizKnockライター、美術、この2つの単語が並んだ時に1番最初に出てくるのは大学で美術を学んでいるあの人。


「志賀さんですかね」

河「よしじゃあ次の話ね」

「え？」


私が志賀さんの名前を出すと少し前のめりになり話題を変えた。

河村さんは近くに置いてあった財布から2枚の紙を出すと私に見せる。


河「ここに2枚の美術館チケットがあります」

「わ、美術館のチケットなだけあってオシャレですね。可愛い」


河村さんの手の中にある紙は様々な色が使われていながらも黒字が見えづらいということも無く、デザイン性もチケットとしても素晴らしいものだった。


河「じゃあ今までの情報整理してみて？」

「今までの情報？」


さっきまで河村さんと話していた内容ということだろう。

私が美術に興味がある、オタクはデートには行くなの続編、前回カメラマンだった川上さんは参加しない、美術といえば志賀さん、2枚の美術館のチケット。


「……1つだけ質問いいですか？」

河「クローズクエスチョンだったらね」

「分かりました」


考えていた質問は｢はい｣か｢いいえ｣で答えられるものだったのでそのまま口に出す。


「まさかですけど私と志賀さんがオタクは美術館デートには行くなを書き上げるんですか？」

河「はい」

「やっぱりですか!?」

河「ベースは志賀くんだしクイズは僕が協力して作るしAちゃんは志賀くんにガヤを入れる川上ポジションだよ」


河村さんにそう言われてもすぐに｢はいそうですか。では行きます｣とはならない。

いつも水上さんや福良さん、拓司に言われる通りチョロいところはあるかもしれないけど流石に学習はした。


河「ダメ？」

「私が河村さん推しなのわかってやってるでしょ」

河「あ、バレた」


首をかしげながら目を細めて緩く口角を上げる。いや……好きすぎる……数ヶ月前の私なら音速で了承していたけどそうはいかない。


河「Aちゃんコイちゃんになりたくないの？」

「推しになりたい欲は別にないですけど」

河「無いかぁ」


私がそう言うと河村さんは残念そうに持っていた紙を財布へしまう。


河「Aちゃんが了承してくれなかったからこのチケット代経費じゃ落ちないなぁ。自腹かぁ」

「うっ、」


良心に訴えかけてくる作戦に変えたのか独り言のように河村さんが呟く。こっちを見ながら、何度も。

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