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「なんで?」
伊「迎えに来てって言われるだろうなって思って待ってたんだよ」
「あー、いや、傘は持ってなかったんだけどね」
伊「タクシー?」
一瞬自己紹介? と思ってしまったことを許して欲しい。
傘持ってないの察してるなら拓司から連絡くれたらいいのに、とかいうワガママすぎる意見も浮かんだけど口に出る前に押し込める。
「ううん。歩き」
伊「? あ、エリたそちゃん?」
「今日はエリたそじゃないよ」
じゃあ誰だよという顔をしながら私を見つめてくる。
伊「まさか!! 知らない男と!?」
「そこまで危機管理能力欠如してない」
目を大きく見開いて指をさしながら言ってくる拓司に冷静に返す。
図書館で声をかけてくれた水上さんと一緒に来たんだ、そう伝えようとすると玄関が大きな音をたてて開く音がした。
伊「A、下がって」
拓司が私を守るように私の前に腕を出す。……こんな白昼堂々と泥棒に的なことでは流石にないと思う。
白昼強盗という言葉があるから完全にその可能性がないとは言いきれないけど。
その足音は私たちがいる部屋にまっすぐと向かってくる。
そして、なんの迷いもなく扉を開ける。
「あれ、川上さん」
扉を開けたのは所々、というか全身が濡れている川上さんだった。
雨から逃れるために雑に扉を開けたのだとしたら納得がいく。
伊「驚かせんなよ! 川上も傘もってねぇの? シャワー浴びてきたら?」
川「傘は持ってたんですけど走る時に風の抵抗が邪魔だったので閉じてきました」
伊「じゃあ走るなよ」
私も高校の時の学園祭で買い出し時間がギリギリだったのに間に合いそうもなくて川上さんと同じ考えで傘を閉じてビシャビシャになりながら学校に帰った覚えがある。
川「あ、A!!」
突然名前を呼ばれ肩が跳ねる。びっくりした……。
「なんですか?」
川「Aが、男と傘1本で歩いてたって、聞いて、」
伊「え! なにそれ!」
川「やっぱり伊沢さんやないんや……。誰!?」
誰から聞いたのかはわからないけれど私のことはわかるのに水上さんのことはわからなかったのか……。そう思いながら心配そうな顔で私を見つめる川上さんを見つめ返す。
「えっと、水上さんです」
川「……水上? なんで?」
図書館でたまたま会って私に傘を渡してきたのでどうにか理由をつけて2人で入る事を私が提案したことを話した。
川「Aが、一緒に入ろうって言ったん?」
「はい」
川上さんの表情が一変する。
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ショコラ(プロフ) - Rukaさん» はじめまして!私も誰かと共通点があると嬉しいです!宇治原さんは伊沢さんが憧れるほどのクイズプレイヤーですもんね……!!この作品を読んでいただきありがとうございます!頑張ります! (2019年8月23日 14時) (レス) id: ce9cfeac66 (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - 松宮カナメさん» はじめまして!コメントありがとうございます!優しいお言葉ありがとうございます!!これからは「更新されてない?おかしいなぁ」くらいには更新ペースを上げたいと考えてはいますので応援コメントを糧にもっと頑張りたいと思います! (2019年8月23日 14時) (レス) id: ce9cfeac66 (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - ゆみさん» コメントありがとうございます!!占ツクナンバーワンですか!?ライター伊沢占ツクナンバーワン!!とても嬉しいです!たくさんある作品の中から私のこの作品を読んでいただきありがとうございます!!完結まで頑張りますので応援よろしくお願いします! (2019年8月23日 14時) (レス) id: ce9cfeac66 (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - ぽぽにょさん» はじめまして!そんなこの作品がまだまっさらな時から応援していただけていたとは嬉しいです!更新ペースは当初に比べると落ちまくりですが頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年8月23日 14時) (レス) id: ce9cfeac66 (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - しぐれさん» ありがとうございます!!最近は夜の更新が多くなっている&更新しない日が多くなっているということで生活習慣から外れてしまっているかも知れませんがこれからも見ていただけると嬉しいです……!! (2019年8月23日 14時) (レス) id: ce9cfeac66 (このIDを非表示/違反報告)
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