タラシ女子、可愛い子が好きです【今日から俺は！！】

3話 幸せになって ページ3

「ところでAちゃんはスケバンなの？」
「え？ 違うけど……どうして？」

赤坂さんが急な質問をしてくる。え、スケバン？ 赤坂さんがスケバンでタイマンはれやコラ的なことを促されてるの？

「後ろの席はツッパリの席だって聞いてたから……」
「え！ そうなの!?」
「うん。だから、三ちゃんも伊藤ちゃんも後ろの席なの」

マジか。マジかよ椋木先生。

「理子！ 俺が自己紹介しようとしてるでしょうがっ！」

クル金が大声をあげる。そういえば結局自己紹介できてないんだった。私も忘れてた。
……待って？ 下の名前呼び？ あだ名？ これは……付き合ってるな？ みつりこだな？ 寛容な私、そんな事実を知っても驚かない。赤坂さん彼氏いるよね可愛いもん。

「三橋くんと赤坂さんは付き合ってるんだぁ」
「え!?」
「Aちゃんってなんでも口に出ちゃうタイプ？」

赤坂さんの驚いた声と伊藤くんの問いかけにハッとする。今のもしかして声に出てた……？

「つつつつつ、つ、付き合ってねぇーし！ べべべ、別に、付き合ってるとか！ そういうんじゃねぇし！」
「そ、そうよ！」
「ふーん、これは付き合ってないけどりょっ」

"両思い"この言葉が口から出そうになった時伊藤くんが私の口を塞いだ。というか鼻も塞がれた。
やばい。推しの手で窒息死は笑えない。私的には最高だけど推しに罪を被せるわけにはいかない。

「んー！ んんっ！」
「い、伊藤ちゃん!! 鼻まで塞いでる！」
「あ、ごめん！ だ、大丈夫……？」
「大丈夫ﾊｧｯ。全然平気ﾌｩｯ」
「その割にはめっちゃ肩で息してるけどな」
「ねぇ、Aちゃんさっきなんて言おうとしたの？」
「へ？ んー、忘れちゃった！」
「そう？」

首を傾げる赤坂さんめっちゃ可愛い結婚して。三橋くんと。そして幸せになって。

「三橋の自己紹介聞く？」
「あ、ぜひ！」

伊藤くんが思い出したように三橋くんを指さし私に問いかける。苗字は知ってるけど下の名前は知らないのでぜひしていただきたい。呼ぶことはないけど

「三橋、貴志です。あなたの、三橋貴志です！ 貴志、でっす」

1回目はターン、2回目は私を指さしながらそして3回目にウインクをしながら自己紹介してくれた。

「よろしく三橋くん！」

握手をしようとスカートで手を拭こうとしたがチャイムがなる。
赤坂さんが教室に帰ろうとした時私にこう叫んだ。

「Aちゃん！ 私のこと下の名前で呼んでね！」

理子ちゃん……好き……。
三橋くんは不服そうに席に帰った。

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