国営放送 ページ21
町娘 side
os「君、大丈夫？うん、怪我はなさそう」
ただ1度だけあの方に手を握って頂いたことがある。艶のあるアシンメトリーの茶髪。細められた目から覗く深緑に私は恋をした。
男達から助けて頂いた吊り橋効果なのかもしれない。ただ1度だけ。あの方…オスマン様は私の事など覚えてはいないことでしょう。でもあの日、私はあの方に確かに甘く心を痺れさせた。
最近幹部様が増えたと言う噂を聞いた。なんでも初の女性幹部。医学に明るく、実力も確か。今度の戦争では指揮官を務めるんだとか。
幹部様達の本が出版される度に彼女の本はいつなのかと国全体がワクワクしている。
「きゃー!!オスマン様よ!!」
胸が高鳴るのが自分でもよくわかる。理解してるの。冴えないただの町娘が幹部様の横を歩くなんて烏滸がましい。
短くていい…夢を…夢を見させて欲しい。あの人の隣を歩き、私の為だけに笑って欲しい。
「ジュリア様もご一緒だわ！」
「お顔を隠していても高貴さが溢れ出ているわ」
「お二人は仲がよろしいのね！」
胸が痛い。高鳴る鼓動に釘を刺す痛み。
ジュリア様には私よりも美しい所作とお顔がある。私には無い聡明さも。
＿＿＿
ＮＯ side
それは昼下がり、何となく全員が揃い、茶を飲みだべっていた。
jra「って感じに、国民は幹部に夢見すぎやない？」
gr「なんだ？急に」
tn「急にメタいな」
jra「ない夢は持たせん方がええと思うんよなぁ」
うんうん、と頷き続けるジュリア。しかも全員を見回しながら言う。
その姿に噛み付いたのはコネシマだった。
kn「おぉん!?俺たちに夢が無いみたいな言い方するやんけ!!」
jra「ないやん。狂犬とか言われとるけど実際は吠えるチワワやし、」
kn「なんやと!?」
jra「グルちゃんもしっかりはしとるけど甘味に目が無いし、書類から逃げるもんなぁ？」
グルッペンは思わず顔を逸らした。逸らした先にはトントンが笑顔でグルッペンを見つめている。
jra「私なんか顔を公開してないせいで高貴な身分とか顔に傷があってコンプレックスにしてるとかあられもない噂立ってんねんで？」
zm「高貴な身分www」
ut「あながち間違いやないやん」
はぁ、とため息を零したジュリアはペラッと布を捲って言った。
jra「何より、マンちゃんと恋人っちゅう噂があるんよ。ないわー」
os「確かにないな」
jra「だから提案があんねん」
ニヤリと笑うとそこには企画書が
「「「「国営放送？」」」」
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