八戦 ページ9
ＮＯ side
オスマンに続いて歩くのは紙で顔を隠した2人組
その2人は今、大量の人に囲まれていた
「先生、娘が熱で!!いい薬は無いの？」
「ジュリアさーん!!この間のお礼、マカロン作ったの！食べて下さいな」
「アリーチェ!!僕についてきてくれ!!」
「せんせ!!おしろにいっちゃうの？」
集まるのは老若男女。街の住人たち
その一人ひとりに丁寧に対応する2人の手には溢れんばかりの荷物が乗っていた
城に着く頃には日が傾き、オレンジ色に染まっていた
jra「すみません。遅くなってしまいました」
os「ええよ、連絡入れたし。それにしてもその荷物…人気者なんやな」
jra「有難いことです。町医者には勿体ない」
いつの間にか廊下の一番端の大きな扉の前に立っていた
中からは騒がしい声が聞こえ、何かを破壊する音まで混じっている
os「じゃあ、呼んだら入ってきてくれるか。今帰っためう〜」
そう言うと扉を開き中へ入っていったオスマン
jra「めう……？」
ari「口癖…？」
2人は大量の荷物を持ったまま首を傾げる
暫く待つとオスマンの声が中から聞こえる
jra「失礼します。この度後方支援の医療科配属になります。女医のジュリアです」
ari「同じく、後方支援の医療科配属。麻酔科医兼薬師のアリーチェ」
扉を開けたオスマンに頭を下げ、未だに騒がしい幹部達の前で自己紹介をする
2人は大量の荷物のせいで元々見えない顔がさらに見えなくなってしまっていた
sha「ジュリア先生やん!!アリーチェも!!」
明るい金髪の幹部と言い合いをして立ち上がっていたらしいシャオロンは荷物に隠れる2人を覗き込んだ
jra「あぁ、シャオちゃん。傷は痛んでないようだね。元気そうでなにより」
ari「呼び捨てかよ。だから不人気」
1週間でかなり仲良くなったようで、アリーチェと戯れている
kn「アッハハハハ。薬師さんにも不人気言われとるやんけ!!」
tn「オスマン、いつの間に連れてきたん？」
os「いまさっき、スカウトしたんよ」
zm「シャオロンが助けられたって話しとった女医さんか!!」
大声の金髪に苦労人、花を飛ばす外交官と怪しげな緑パーカー
荷物を足元に置いたジュリアは個性豊かなメンバーを眺める
再び喧嘩を始める自由人達にため息をつきそうになったその時、威圧感のある一人が手を打った
gr「お前が噂の女医と薬師か。ようこそ我々国へ。歓迎する」
面白そうに歪む口と長い睫毛から覗く紅は美しく絵画のようだった
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