四戦 ページ5
jra side
ついに来てしまったか…
我々国外交官、オスマン殿。
インカムを通して聞く限り、あの馬車に乗って来たみたいだが、位置情報は入ってきていない。
盗聴器はどうかと試してみたがこちらも反応なし
壊されるのは想定内。寧ろ壊さない方が恐ろしい
今からのパフォーマンスでどのように感じるかが問題だ。因みにこのパフォーマンスの事を総統は知らない
言った所で何かが変わるわけでもない
言えるのはただ一つ、憂鬱だ
jra「入れ」
中性的な顔立ちに近視感をおぼえる
はて、何処かで会っただろうか…
書面での小さな枠の彼にはこんな感情は抱かなかったというのに
os「本日はお招きいただきありがとうございます、F国総統閣下殿、並びにその補佐殿」
細められた目が薄らと緑を覗かせる
さぁ、この茶番どうしようか…
面倒だし、総統閣下に任せよう。パフォーマンスまでには時間がある
お飾りの総統閣下との対話で外交官殿の実力を見極めようじゃないか
結果を言おう、完敗だ。自国の外交官は確実に遊ばれていた事がわかる。
そこそこの信頼？馬鹿な、そう思っているのは自国だけだろう。
少しでも彼の意志にそぐわない変な動きを見せれば戦争をふっかけられる。
途中から彼のペースに乗った総統閣下を何度こちらのペースへ引き戻した事か。その度にこちらに飛んでくる視線を何度躱したことか。
胃が痛い
jra「総統閣下、お茶の準備が整いました。オスマン様は甘い物がお好きだとか。私が厳選致しました甘味を召し上がりながら、話を続けるのはいかがでしょう？」
総統「そうだな。どうでしょう、オスマン様」
os「それは魅力的ですね、案内して頂いても？」
総統「勿論ですとも。クルデーレ、ご案内しろ」
jra「はっ!!」
やっとパフォーマンスに移る事が出来る
ノービレには先に会場に向かわせた。説明はしていないが彼女程の頭脳の持ち主ならば察している
「お茶をお持ちしました」
予定通り給仕役の兵が総統閣下と外交官殿、そして護衛のシャオロンにお茶を注ぐ
お茶を注ぎ終わり一礼をした兵を見送るとノービレに合図を出す。小さく頷いたノービレは静かに席を外す
os「これは！この茶葉、F国産のものですね？」
jra「はい。品種改良を繰り返した逸品です。マニアに人気が高く、幻とも言われているんだとか…お気に召したようで何よりです」
紅茶にも詳しいのか…メモしておこう
インカムから声が聞こえる
その報告を待っていたよ
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