三十九戦 ページ40
ari side
目を開けずに状況を確認する
手首には鎖、足には枷。
布の感覚が左腕にある、手当したのか。
律儀な人達ね
解毒薬の副作用がまだあるな。力が入らない
「起きているだろう？」
この低い威圧感のある声は
ari「何、ヒューラー・グルッペン殿？」
gr「聞きたい事がある」
暇なの？
そんなわけないか、私は1年何を見ていたのか分からなくなってしまうな
ari「私は無いわ。副作用も残っているようだから」
tn「ふざけてんちゃうぞ。国がかかっとるんや」
ari「巫山戯てないわよ。書記長殿は毒を試した事がないようね」
tn「あるわけないやろ!!」
血圧上がるよ
起こしていた上半身をベッドに倒す
鉄格子を介している幹部達が驚くのがわかる
いい気味だな。病み上がりだぞ
snp「紙で口元を隠していたのは口内に仕込んでた毒針と毒を隠すため？」
ari「それもある。だが、1番は身バレを防ぐ為。外交官殿と護衛殿とは面識があったから」
os「門で出迎えてた子やな。ノービレって呼ばれとった」
ari「そう。もうその名は消えているでしょうけど」
rbr「F国の情報を洗ったけど、ノービレもアリーチェも出てこんかった」
kn「他に名があるやろ」
ari「ノービレは軍名だし、アリーチェだって本名じゃない、師匠に付けられた名よ。親に貰った名前なんて呼ぶ人が居なければ忘れるわよ」
名前なんて心底どうでもいい。区別が付けば良いのだ
ari「このまま監獄で過ごすのもいいかもしれないわ。殺すというならそれでもいい」
gr「お前は本当に母国を裏切ったのか？」
ari「裏切るも何も、私が忠誠を誓ったのはクルデーレ様。君達が何を知りたいのかは知らないけど、私が関わっていたのは薬品だけよ。知りたいなら部屋に置いてある手帳に全て載っている」
すぐに部屋に向かうショッピ
急がなくても大丈夫さ。手帳は逃げない
utu「他にもなんかあるんとちゃう？」
ari「ないわよ。戸籍もないんだから」
kn「は？」
ari「結構前にあった切り裂き魔の事件覚えてる？」
eml「ありましたね。最初は成人男性。次々と老若男女が殺された。最後の事件は4人家族の内長女の遺体だけ見つからなかった」
ari「その長女が私、師匠は切り裂き魔。死んだ事になってるから戸籍がないの」
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