十七戦 ページ18
jra side
今日は夜勤ではない
荷物も増えて書棚に大量の本がある
今日は歴史書でも読むかな
私の身体は敵陣では寝られないらしい
不思議と身体が重くなるようなことは無く、眠気も襲ってこない
あぁ。こんな事ならトンちゃんに書類を一山くらい貰ってくれば良かった
ここは酷く平和で上司も部下も優秀
国民の満足度も高い。一つだけ欠点かもしれないのは戦争好きな所だろうか
なぜか見張りも居なくなっている
信用されているんだろうか
怪しさ満載の私を
開いた本を顔に乗せて背もたれに体重を乗せる
この状態だと紙を付けていないように見えるだろう
誰か入ってきて本を捲るだろうな
それはそれで面白い
いまビアンは居ない。祖国に報告書を届けている
私はスパイだ。彼等と私は分かり合えない敵であるはず
jra「わからんな…」
『ジュリア。遊び行こか』
フワリとした髪の少年
顔は見えないが綺麗な顔をしていると私は知っている
記憶にこの少年は居なかったはずだ。
妙に引っかかる何かがある
『ジュリアだけは絶対守ったる。どこに居ても見つけたるからな』
少年が一回り小さい手を握っている
恐らく私の手。この冷えたと思った心にある少年に対する感情も多分私の。
『うん、ありがとぉ。私も＿＿ちゃんの事絶対忘れへん』
周りの状況から見て戦争の前。父と母が軍に、国に殺される前
人は変わる。きっと未来の少年もその事を知っている。勿論私も
zm「チッス!!…寝とるんか？」
人が近づく気配で起きた
寝ていた…？眠れない私が？
天井から侵入したゾムが静かに近付く
zm「紙つけとらんな…。本を退かしたいが流石に本人の許可無しに本退かせへんよな」
jra「おはようございます、起きてますよ。暗殺隊長殿」
zm「なんや、紙付けとったんか。朝から硬っ苦しいなぁ。敬語いらんで」
本の分厚さをみて顔をしかめると期待の眼差しを向ける
jra「ソレ、皆言うね。ゾムちゃんはなんの御用かな」
zm「起こしに来た。飯一緒に行こ」
jra「食害しないなら、いこうか」
ちゃんを付けた事が不満だったのか素っ気なかったが
地面を歩く足が弾んでいる。嬉しそうでなにより
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