執拗猫の放し方【桃】

第9話 ページ10

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『(力強すぎ…振り解けない…っ！)』




バレない程度に手を振り解こうとしてもびくともしない。




結局そのまま近くのファミレスに連れ込まれた。




休日のお昼時だからか満席で予約表に名前を書かないと永遠に座れない。




お腹空いてるのになんで並んでまでこの人とお昼を一緒にしなきゃいけないのか…




申し訳無いが私の中ではかなり印象がだだ下がり。




｢ん、俺書くよ｣



『いえ。無理矢理とは言えど、部下が…って』




なんて言った時にはペンを奪われサラサラっと自分の名字を書いていた。




｢Aちゃん今日一日で俺への態度どんどん低下してるね｣



『さとみさん、私の仕事の邪魔ばかりしてくるので』



｢仕事大好き人間か、息抜きも必要だろ｣




息抜き、なんてしている暇は無い。




私の行動が周りを良くする、というのは少なからずあると思う。




となると、私にとっては息抜きなんてしてる一分一秒も惜しい。




『…一日48時間あれば良いんですけど』



『Aちゃん、そのうち過労ﾀﾋしちゃうよ』



『勝手に私を討取らないでください』




｢討取るって…笑｣なんてケラケラと笑うさとみさんはポチポチと文字を打っていた。



あぁそうだ。この人YouTube100万人も居る(らしい)有名人だった。




｢んー？気になる？｣



『そうですね、20％くらいは』



｢ひっく｣




さとみさんは鞄からAirPodsを取り出してズボッと私の耳に装着させた。




｢これ、再生してみて｣



『え？え？』



｢いいからいいから｣




さとみさんに促されるまま独特なサムネの動画を再生させた。

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