執拗猫の放し方【桃】

第8話 ページ9

･
Aside





『……………』



｢〜♪｣




いつも通り黙々とデスクワークを行う今日この頃




今日は休日だけど、少し溜まっている仕事を終わらせる為私だけが出勤しに来ていた。




そう、本来なら私以外誰か居た方がおかしい。




『…あの、さとみさん』



｢ん〜？どした？｣



『……私の言いたい事分かりますよね？』



｢ん〜？｣




私の言葉を知らんぷりで髪の毛を指でくるくるさせたりゲームをしたりしている。




この秘書室で、だ。




『何故此処に居らっしゃるのですか？』



｢ん〜Aちゃんに会いたかったから？なーくんに教えて貰ってね、来ちゃった｣



『プライバシーの侵害です、もう今更帰れ、とは言いませんがマスクを着けてください』




未使用の不織布マスクを渡すと｢俺紙マスク好きじゃねぇんだよな〜｣と言いながら着けた。




まぁいいか…あともう少しで終わる、お昼は昨日の夜の残りでいいかな…。



前はあんなにお世話になったと同時に迷惑をかけてしまったさとみさん。




第一印象としては、優しい。それに尽きる。正に王子様、ってやつだ。




『(意外と自己中…？)』




カタカタと文字を打ち終わりEnterを押して、ふぅ。と一息着く。




｢ん、終わった？お疲れさん｣



『あぁ…いえ…』




丁度ゲームを終えたのか、画面には【Champion】と記されていた。




正直貴方の所為で2倍疲れました、なんて言葉はそっと胸の奥に閉まって置く事にしよう。




｢んで、昼飯どっか行きたいとこある？｣



『っは、？』



｢？俺さっき聞いたじゃん、"飯どっか行こう"って。"そうですね"って言ってたけど｣




さて、そんな事言っていただろうか。身に覚えが無い。




あるとしたら、さとみさんの話の内容全部聞き流して適当に返事していた時だろう。




下手したらコレよりももっとえげつない事にも適当に返事している可能性も0では無い。




『(あぁ…私の馬鹿野郎)』




げんなりしている間に勝手にシャットダウンされ荷物を持ち、手を引かれ部屋を出ていた。

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