たんぽぽの花冠 【我妻善逸】

タラシ野郎 ページ10

.





この間のお花畑の一件から
善逸くんとの仲は一気に縮まった。


なんだかよくわかんないけど
少しドキドキするような気もする。





「 あ〜 疲れたぁ。

最近 単独任務ばっかり。
合同任務がいいなあ 」



『 Aノ 実力ガ 認メラレテイル証拠！
色々言ワナイ！』





そう言って頭をつつくのは
私の鎹鴉の " おもち "

名前の由来は ただ単に
私がお餅が好きだから。





「 わかったよ〜！
わかったからつつかないで！」





『 アハハ ♪ ウフフ ♪ 』

『 善逸！ちゃんとやらないか！』

『 紋次郎！気ぃ抜くんじゃねぇ！』





なんだか賑やかな声が
武道場から聞こえてきた。



そういえば、善逸くんは
体調が良くなってきたから
今日から機能回復訓練が始まった
って言ってたな。

ちょっと覗いてみよーっと。





「 ん…？」





目に映ったのは…


三人娘にストレッチをしてもらって
デレデレしている善逸。

反射訓練でアオイの手を握って
かっこつけてる善逸。

全身訓練でアオイに抱き着いて
殴られる善逸。





「 … 」





なにあれ。


この間の優しい善逸くんは
どこへ行ったの！？

デレデレ デレデレして！！

信じらんない！！





『 あ… Aちゃーん！！』





入口から覗いていた私に
気付いた善逸くんは
デレデレしたまま走ってきた。





『 会いたかったよぉぉぉ！！
俺に会いに来てくれたの！？

やだ！嬉し…ぶふぉっ！！』



「 最ッ低！！ふん！ 」





抱き着かれる前に
顔面パンチをお見舞いしてやった。





『 ま…待ってぇぇぇ…なんで…？泣』



『 善逸が色んな女の子に
デレデレしていたからだろう 』



『 デレデレしてた…？ 俺 』



『 … 』



『 なんだよその顔！やめろぉぉぉぉ！』



『 そんなことより紋逸！

押されても
体が痛くならない方法を教えろ！』



『 うるっせーなお前は！！
黙ってろイノシシ頭！！』





武道場を離れながらも
3人の声はガンガン聞こえてきた。




『 んだとこらぁ！！来いよ紋逸！』

『 行かねーよ！
俺はAちゃんを追いかける！』

『 ダメだ善逸！まだ訓練中だろう！』




善逸くんは女好きだという噂は
どうも本当だったらしい。





「 もう知らない！あんなタラシ野郎！」





ドキドキしてた私がバカみたいだと
ちょっと恥ずかしくなり

あの優しさは私にだけじゃないのかと
少し胸がチクッとした。






.

時透無一郎→←ひとりじゃない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す