鬼になんてさせない ページ41
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「 今日は満月か… 」
また夜中に1人、縁側で月を見上げる。
寝ようと思って布団に入ったけど、
どうしても眠れなかった。
結局あの後、帰り道は
善逸くんとは一言も話さなかった。
善逸くんも音で察したのか
話しかけては来なかった。
「 私、勝てるのかな… 鬼の力に 」
私の細胞の半分は鬼の細胞。
もし本当にお父さんの力で
雷の呼吸が使えるようになったら
いずれ鬼の力も使えるようになる。
でも、それ以前の問題がある。
私は半分鬼だということを
鬼殺隊のみんなが認めてくれるかどうか。
善逸くんはどう思ったかな…
" どんなことがあろうと、ずっとそばにいるよ "
あの時はそう言ってくれたけど
わたしが半分鬼だなんて
予想もしてなかったことだろうな…
軽蔑するかな
離れてっちゃうかな
せっかく見つけた
誰よりも大切な人なのに
『 お隣いいですか?』
ふわっと彼の匂いがして顔を上げる。
「 善逸くん… 」
『 なんか俺も眠れなくってさ 』
" そしたらAちゃんの音がしたから "
と無邪気に笑う。
安心するその笑顔に
気を抜くと涙が出そうになる。
どう思ったか聞きたい。
でも怖くて聞けない…
しばらくの沈黙の後、善逸くんが口を開いた。
『 Aちゃんの音ってね、
鈴のように綺麗な音なんだ。
今まで聞いたこともない、優しくて綺麗な鈴の音。
でも時々、違う音が聞こえてくる。
恐怖、不安…
その恐怖や不安を取り除いてあげられるなら、
俺が力になりたい。
Aちゃんが、俺のことを救ってくれたように 』
微笑んで、私の手をまた優しく握ってくれる。
手を握ると私が安心するの わかってるんだ。
「 私、鬼の力に屈さずに
人間のままでいれるのかなって…
鬼の力って きっと人間の力よりはるかに強い。
こんなに弱い私が耐えられるのか
ますます自信がなくなっちゃった… 」
善逸くんの私の手を握る力が少し強くなる。
『 Aちゃんは、絶対大丈夫だよ。
優秀なお父さんとお母さんがいたんだもん。
それに、もし鬼になりそうになったら俺が止める。
何度だって Aちゃんの名前を呼ぶよ。
___ 俺が鬼になんてさせないから 』
" 鬼になんてさせない "
私一人に頑張れって 大丈夫だって言うんじゃなくて
鬼になるかもしれないギリギリまで
そばにいてくれる。
そんな言葉に私の涙は止まらなくなった。
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mini(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます(T_T)!更新頑張ります!! (2020年4月20日 21時) (レス) id: 91678dce2b (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 強い女子と善逸くん、大好きな組み合わせです(笑)続き楽しみにしてます! (2020年4月20日 19時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年4月12日 20時