戻らない記憶 ※着物柄変更 ページ4
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「 はぁぁぁ… 」
『 そんなにため息をついてると、幸せが逃げますよ 』
そうAに声を掛けるのは
小柄で蝶の髪飾りを付けた美しい人。
「 ため息だってつきたくなるよ…
しのぶ姉さんだって、
そういう時あるでしょ?」
鬼殺隊 蟲柱 胡蝶しのぶ
柱の中で唯一 鬼の頸が斬れない剣士だが、
鬼を殺せる毒を作った、ちょっとすごい人。
Aとカナヲの師範でもある。
『 ありますけど…
幸せが逃げたら嫌だから、
あまりつかないようにしてるの 』
「 … 」
『 記憶が戻らなくて悔しいのはわかるけど
思い詰めるのは良くないですよ 』
「 だって… 細切れに記憶が戻るくせに
それが誰なのか、なんなのか全然わからない 」
私は4歳までの記憶がない。
両親のことも、全く分からない。
放心状態でフラフラ街を歩いている時に
カナエ姉さんとしのぶ姉さんに
拾ってもらった。
その時の私は、何を聞いても
" わからない " と言った。
ただただ、持っていた着物を
握りしめていたそう。
今着ている私の羽織がその着物だ。
藤色の地で麻の葉模様、
裾の方になるにつれて色が薄くなり
グラデーションになっている。
『 焦ることはないですよ。
ゆっくりゆっくり、思い出せばいいんだから 』
「 はい… 」
失っている記憶と重なるような場面に出くわすと
細切れになって現れる昔の記憶。
少しずつでも出てくるのに、
一切何も思い出せない。
シャラ…
首の詰まった隊服から、
華奢な金色の小さな石の首飾りを取り出す。
これは私がカナエ姉さんとしのぶ姉さんに
初めて会った時から付けていたもの。
これを見る度に、
何かとっても大切なことを
忘れてしまっているような気がする。
大事な大事な記憶を。
ただ一つ、
ハッキリと記憶に残っている後ろ姿。
風になびく金色の綺麗な長髪を一つに束ね、
三角模様の茶色い羽織を着ている。
手には雷が走ったような刀。
私を庇うようにして立っているその姿は
月明かりに照らされて、
より一層 美しく、力強く見えた。
「 今日はあの日と同じくらい、月が綺麗ですね 」
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mini(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます(T_T)!更新頑張ります!! (2020年4月20日 21時) (レス) id: 91678dce2b (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 強い女子と善逸くん、大好きな組み合わせです(笑)続き楽しみにしてます! (2020年4月20日 19時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年4月12日 20時