失いたくない ページ26
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『 んっ…いててててっ… 』
静かだ…終わったのか?
炭治郎たちが頚を斬ったんだな…
『 あっ!禰豆子ちゃん!?』
『 ムー… 』
俺より先に目覚めたのか
気絶すらしなかったのか
禰豆子ちゃんは助けた乗客の所にいた。
『 よかった… 』
…いや、良くない。
Aちゃんの音が弱い。
ほとんど聞こえない。
『 禰豆子ちゃん、
俺はAちゃんのところに行ってくるから
もし日が昇りそうになったら
箱の中に入ってね?
俺が迎えに来るから 』
『 ムンッ!』
禰豆子ちゃんのところに箱を置き、
後方車両へと走った。
頼む…頼むから生きていてくれ…
こんなに誰かを失いたくない
と思ったのは初めてだ。
" 記憶がない "
そう言って泣いたAちゃんを
俺が守らなきゃいけないと思った。
継子として育てられてきて、
きっと弱音なんて吐いてこなかったんだろう
話してくれたあの時、
悲しみや不安の音もしたけど
安堵の音もした。
強いと言われ
才能があると言われて育てられてきた彼女は
_____ 本当は弱いんだ。
そんな弱いところを俺には見せてくれた。
俺を頼ってくれた。
だから俺が
守らなきゃいけないと思った
守りたいと思った
そばにいたいと思った
絶対に、失いたくない。
『 …! 人がいる!』
後方車両の辺りで座り込んでいる
乗客らしき人たちに駆け寄る。
『 大丈夫ですか!?』
『 …私たちは大丈夫です。
でもっ、私たちを助けてくれた方が… 』
『 え… 』
『 藤色で麻の葉模様の羽織で、
あなたと同じ服を着ていました…! 』
Aちゃんだ…!
まだ中にいるってことか…?
『 列車が横転する前に、
私たち乗客を全員外へ出してくれたんです…
私が最後だったのですが、
確認に行くと言って戻ったっきり… 』
そんな…
まだかすかに音はする。
まだ生きてる…!
絶対見つける
絶対助けるから
生きててくれ…!
俺は横転している
車両の中へ入っていった。
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※着物柄変更しました。
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mini(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます(T_T)!更新頑張ります!! (2020年4月20日 21時) (レス) id: 91678dce2b (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 強い女子と善逸くん、大好きな組み合わせです(笑)続き楽しみにしてます! (2020年4月20日 19時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年4月12日 20時