【文スト】歳下なんてダメですか【太宰治】

珈琲。 ページ19

＊



「嗚呼、食べた食べた」

「もう少し女性らしくしたらどうだい？」

「私は充分女子デース」


太宰さんに一言反抗して、食後のデザートのプリンを食べていた。
太宰さんは１杯の珈琲を飲んでいた。

それは絵に描いたように、一滴たりともこぼさず綺麗に飲んでいた。
そしてふと、太宰さんの言っていたことを思い出した。

"珈琲の１杯くらい奢ってくれ給え"

特に意味はないけれど、感謝していない訳では無いし私の仕事も片付けてくれたし。


「太宰さん」

「なんだい」

「どうぞ、360円」

「え」


きょとーんと私を見る太宰さん。
敦くんと鏡花ちゃんと国木田さんは、どこの空気を読んだのかはわからないけど退散した。

よって、うずまきに居るのは店員さんと私と太宰さんだった。

店員さんも読んだのか、ニコニコしながら何も言わない。


「だから、あの、珈琲の１杯くらい奢ってって太宰さんが言ったんじゃないですか……！」

「ふふっ、冗談のつもりだったのだけれど」


くすくすと笑いながら、１杯の珈琲を啜る太宰さんはとても綺麗だった。


「嗚呼、君は本当におもしろい。そろそろ時間だね、私はもう行くよ」


私も連られて立ってしまった。
お財布を出していたら、太宰さんが一万円札をそっと出して言った。


「お釣りはツケに当ててくれ」

「あぁ、ちょっと太宰さん！！」

「イイ女性はここで大人しく奢られているものなのだよ」

「イイ女性じゃなくていいんで！！」


私が財布からお金をだそうとすると、太宰さんが言った。


「良いから、少しはカッコつけさせてくれ給え」


カッコつけって……
意味不明なんですけど。

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