Episode195 ／ 姉貴的存在 ページ48
円をしながらマチを探せば、すぐに見つかった。
『マーチっ！』
携帯を弄っていたマチは、私が声をかければびくっと肩を揺らした。
｢あぁ、Aか｣
『どうしたの？なんか用あった？』
マチはホームか…また違うところにいるかと思ってたんだけど。
｢ヒソカの野郎に呼ばれてね。あんたに腕でも吹っ飛ばされると思ったんじゃない？｣
『えー、私でもそんなことはしないよー。流石に。』
｢どうだかね｣
呆れたように肩を竦めてマチは私から視線を逸らした。
｢あんた、怪我してない？｣
『見ての通りどこも。ていうか治った！』
蜜月の特権だよね。回復が早いってのは。
なら良かった、と頭を撫でてくれるマチに擦り寄る。マチは本当の姉貴みたいな感じ。だからかすごく落ち着く。
『あ、そういえばさっき何やってたの？マチが携帯いじってるなんて珍しい』
機械が好きじゃないマチはあまり携帯を使わない。
だからさっき弄ってたのが不思議なのだ。
｢…なんでも。あんた、呼ばれてないかい？｣
はぐらかされた気がしなくもないが、耳をすませばキルの声が聞こえた。
『あ、ほんとだ。また会おーね、マチ！』
それだけ言い残して、私はキルの元へと駆けた。
ダッシュで走っていったAの背中を見ながら安堵のため息をつく。
あたしがさっき見てた携帯の画面にはAとヒソカの試合の映像。
それをちょうど団長の携帯に送っていたところだった。
Aに声をかけられるまで気づかなかった。
あの子…ずっと絶してるのかい
多分、本気じゃないだろうけど。
さっきAに言ったように、ヒソカに呼ばれて来たのもあながち間違いではないけど一番は団長の命令。
ーー｢Aの戦闘の映像を撮って来てくれないか。｣
たまたまアジトに残ってたのがあたしとボノレノフとウボォー。
ウボォーやボノじゃ目立つからあたしが選ばれたわけ。
まったく。ろくでもない役ばかり回ってくる。
どうも好きになれない携帯をしまって天空闘技場を出た。
マチの顔がいつもより穏やかだったことは、本人を含め誰も知らない。
本人は認めないが、Aは旅団に大切にされているのだ
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
