Episode194 ／ 終幕は呆気なく ページ47
何とかしなきゃ、人を踏んでしまう。
あと50メートルくらいしかない。
何か周りにないか、と探すが特に使えそうなものは無い。
一か八か。
『
使えるもの…！
再び頭上の光に手を伸ばして武器を掴む。
期待を込めてそれを見れば
『どーやって使えって言うの！！』
なんて言う名前か分からないが、とてつもなく雑魚そうな武器である。
形としてはこんな感じ → ⊃―
先端がＵ字になっていて、それにただ棒がついているだけのものである。
そして無駄に長い。
｢ゆっくりと降下していくA選手！そして本日3度目！空中から何かを取り出したあっ！なんでしょうかあれは！……なるほど、あれはアイジエン大陸で防衛用として使われる武器、
｢一体なぜあんなものを取り出したのでしょうか！！｣
私が聞きたい！
もう地上まで20メートルほど。
ダメ元で私は刺叉を空中に放り投げて、それを土台にして思いっきり蹴った。
刺叉は勢いよく観客席へと落ちていき、私自身は少しだけ前に進んだ。
観客に当たりそうな刺叉を瞬時に消して、手にオーラを溜めて空気砲の如く放出した。
最初からそうやれよって？
私は放出系じゃないから苦手なんだよ…。
なんとかリングギリギリに戻ると、忘れていた吐き気が戻ってくる。
でもまだヒソカは動けるようで。
再び私たちの攻防が始まった。
ヒソカは毒で、私は吐き気で。
お互いがお互いのせいで念を使えない状態。格闘技のみの試合となった。
しかし、毒をくらったヒソカよりは私の方が有利。
激しい攻防の末…私の回し蹴りがヒソカに決まった。
｢クリーンヒットアンドダウン！！プラス2ポイント！11対9、勝者A！｣
｢ ｢わあぁぁああ｣ ｣
審判の声と大きな歓声が聞こえた。
『…解毒剤、いる？』
｢本気じゃないだろう？｣
『……解毒剤いる？』
｢…もらうよ♠｣
服の下から小さな小瓶を取り出してヒソカに投げて、リングを出ようとした。
本気じゃないか、って？
実際には本気だった。
まぁ楽しんでた部分もあって手を抜いたところもあったが。それはヒソカも同じだろう。
ただし、私は自分自身の発がない分、本気とは言えないかもしれない。力がありあまってるのも確か。
だからヒソカの質問には答えなかった。
｢あぁそうだ♦マチが来てるよ♣会いたがってたから探してごらんよ♥｣
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
